ラベル Energy の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル Energy の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

手作り風車よ回れ!マラウイを照らすほのかな灯火




生暖かい風に乗り赤茶色の乾いた土が舞い上がる
その少年の希望詰まった風車の羽根を静かに回し始めた。


先日ものすごい物に出会いました。それは、アフリカの途上国「マラウイ」の19歳の少年が自ら生み出した風車です。親戚の家のトタン屋根に、錆びついた自転車の車輪――。村中からかき集めた部品を組み合わせたその風車は、電気がない村の闇をほのかに照らしました。(福田大展)

 突然の出会い

私がその風車と出会ったのは、春の暖かさが訪れ始めた3月末。春一番が吹き荒れる、風の強い日でした。私は、全国の高校生が科学研究の成果を発表するイベントに参加していました。早めに会場に着いたので、うろうろと歩いていると・・・、突然「それ」が目に飛び込んできたのです。



それは、見慣れた人工物の中で、輪郭がくっきり浮かび上がるように目を刺激しました。「何ですかこれは」。私は目を大きく見開いて、“異彩を放つ何か”を組み立てている人たちに尋ねました。

「マラウイの少年が自分で作った風車なんです!」

答えてくれたのは、発展途上国を援助する活動に励む「国際協力機構(JICA)」の青年海外協力隊の元隊員たち。イベントにブースを出していました。

マラウイってこんな国

皆さんはマラウイがどこにあるか分かりますか? ここです! アフリカの南東にある、南北に伸びる細長い国。日本の3分の1ほどの広さに、東京都民より少し多い1500万人が暮らしています。電気と水道の普及率は、いずれも10%以下。多くの地域では、夜は暗闇の中で過ごし、水は井戸から地下水を汲み上げています。



集落と集落をつなぐ道は舗装されておらず、自転車で走ると風で舞い上がった砂埃で土まみれに。道の両脇には、トウモロコシ畑が見渡すかぎり広がっています。レンガを積んだ釜に薪をくべて、トウモロコシの粉をグツグツ・・・。できたものを練り上げた「シマ」と呼ばれるものが主食です。学校の授業は日没まで。夜は基本的にろうそくの明かり過ごし(電池で光る懐中電灯はあります)、凍える夜には畑に生えた雑草燃やして暖を取ります電気はほとんど使いません





 「生活に役立つものを作りたい」

風車を作ったのは、マラウイの「ンサナマ村」(日本人には発音がやや難しい)に住む、Gerald kadango(ジェラード・カダンゴ)。日本では高校の時期にあたる「セカンダリースクール」で、隊員から理科や数学を教わりました。


ジェラードが風車の構想を練り始めたのは、2012年の始めごろ。村への電気の供給がないため、懐中電灯の電池や携帯電話の充電への出費が膨らんでいました。

「もし自分で電気を生み出せれば、少しでも節約できる。
生活に役立つ新しいものを作りたい」

学校を卒業した後の2013年7月、ついに想像を形にし始めました。アイデアの元になったのは、子供のころに遊んだ、風の力で転がるおもちゃ。回る力をモーターにつなげたら、電気を生み出せるに違いない。ジェラードは誰に教わるともなく、黙々と試行錯誤を続けました。

風車の回転数を上げる驚きのアイデア

ジェラードは、開発までの道のりを1冊のノートに綴っていました。

・地面から高い方が風が強い
・風で壊れないように、羽根は強くて大きなものが良い
・風車が常に風の吹く方向を向くように、旋回軸をつくる

その論理的な考え方に驚かされます。


中でも、発電量を大きく左右するモーターの回転数を増やすアイデアには驚かされました。小さいころから慣れ親しんでいる、自転車のチェーンに着目しました。

「ペダルを1回漕ぐだけで、車輪はそれ以上に回る」

自分の体験から学んだ知恵を生かしました。

荒々しい風車が、村を照らす

ジェラードの風車は、一言で表現すると・・・「荒々しい」。町工場から生み出された、できたてホヤホヤのプロトタイプのように、荒々しいのです。


風車の骨組みには、赤茶色の錆が目立つ使い古された自転車の車輪を。羽根は、折り曲げた祖父の家のトタン屋根。発電機には、叔母さんが昔使っていた壊れたミシンを分解して取り出したモーターを使いました(最新型はラジオのモーターを使用)。村からかき集めた部品は、日本では「ガラクタ」と見なされてもおかしくないものばかり。しかし、ものは使いようです。

出来上がった風車は、廃材の木材に釘で打ち付けられました。錆だらけの釘の尖った先は、木の板を貫いてむき出しに。最後は、家の屋根の高さを大きく超える4mほどの松の幹に取り付けて掲げました。見ていて飽きない、人の心を力強く揺さぶる、「荒々しい」風車ができあがりました。開発に取り掛かってから1カ月。ついに風車は、生暖かく乾いた風を受けて、ゆっくりと回り始めました。青白い懐中電灯の光とともに。


みんなからあいつは頭がおかしいって言われる。
僕たちの村では、誰もこんなことしないから。僕が最初なんだ

黒い肌に際立つ白い歯をのぞかせながら、ジェラードが誇らしげに微笑みを浮かべました。確かに、生み出した懐中電灯の光は、微かなものかもしれません。しかし、闇に包まれた村をしっかりと照らす、大きな期待が込められた灯火に違いありません。

エネルギーは“耕作”する1次産業

日本は今、一部の大きな電力会社が、大規模な発電所を建てて、安定した電気を送っています。停電は、台風や豪雨などの自然災害のときに、一部の地域で起こる程度。安定した安い電気が使えることが、当たり前になっています。しかし、日本でも一部の地方で、市民が主体となって作った風車や小水力発電所が、稼働し始めています。


エネルギーは、農業や林業、漁業と同じように、
その土地使うだけの量を、“土地耕して収穫するもの”

私はそう思います。「大規模集中型から、小規模分散型へ」。ジェラードの風車を見て、エネルギーをその土地で自分でかき集める、本来の姿を学んだ気がします。

「月」に何を思ふ

ジェラードはセカンダリースクールを卒業後、父の農作業を手伝っています。大学への進学の道もありますが、経済的に厳しい状況です。しかし、ジェラードは私への手紙にこう綴りました。

僕は風車を建てる目標をあきらめない
勉強を続けて科学者になりたい


マラウイの夜空は素晴らしいと、隊員の方たちが教えてくれました。満月は、情熱や夢の象徴として描かれることがしばしばあります。ジェラードの目には、マラウイの満月はどのように映っているのでしょうか。

1億度のプラズマを閉じ込めろ!地上に太陽をつくる核融合研究の最前線

実は身近なエネルギー

夜空に輝く星はすべて核融合エネルギーで光っている
宇宙にある物質をつくる原子は、すべて核融合エネルギーで生まれた
地球に降り注ぐ太陽のエネルギーも核融合エネルギー
(今届いている太陽の光は50万年と8分前の核融合反応で生まれた光)

発電方法

1億度に加熱したDとTのプラズマを閉じ込めて核融合反応を起こす。
発生した中性子を、Liのブランケットで吸収する。
反応で生じた熱で発生させた蒸気でタービンを回して発電する。

D(重水素)+ T(三重水素)→ He(ヘリウム)+ n(中性子)
n(中性子)+ Li(リチウム)→ T(三重水素)+ He(ヘリウム)

D:deuterium(デューテリウム)
T:tritium(トリチウム)

▼核融合を実現する条件
① 温度    :1億度
② 密度    :100兆個/cm3
③ 閉じ込め時間:1秒
④ β値     :5%
 (β値とは磁場に対する圧力比。プラズマの圧力 / 磁場の圧力 × 100
  値が大きいほど、より小さな磁場で高い圧力のプラズマを閉じ込められる
  効率の良さを示しているとも言える)

燃料は何を使うの?

重水素0.1g(海水3リットル)、リチウム0.3gで、
1人あたりの年間電気使用量7500kWhを発電できる
 →「7500kWh」は、どのように計算されたのか
 →同じ電気量をつくるために必要な、ほかの燃料の量を知りたい
  (石炭、石油、天然ガス、ウラン)
(重水素と三重水素の燃料1gで、石油8tに相当するエネルギーをつくれる)

海水中の水素の0.015%が重水素
リチウムは海水1リットル中に0.17mg
(リチウム0.3gを海水中から取るには、1765リットルが必要)

リチウムイオン電池の電池容量(Ah)に0.3をかけた値がリチウム含有量
 →携帯1台の電池に含まれるリチウムの量は
(DSは850mAhだから、0.255g)

プラズマってなに?

物質を暖めると、固体 → 液体 → 気体と変化する。
気体をさらに加熱すると、1万度くらいで原子核(イオン)と電子に分かれる。
この電離した気体のことを「プラズマ」と呼ぶ。
プラズマは荷電粒子(電子とイオン)の集合体。

▼身近なプラズマ
蛍光灯。蛍光灯の中には、数百Pa のArガスと、数Pa の水銀蒸気が入っている。
両端のフィラメントから放出された電子が Arを励起させる。
励起した Arが水銀蒸気を励起させ、水銀のプラズマが発生。
253.7nmの輝線スペクトルを発生する。
その光は紫外線なので見えないが、蛍光灯の周りに塗った蛍光物質に当てて、
可視光線を発生させている。


▼プラズマのパラメータ
電子温度:プラズマ中の電子のエネルギー分布に対応する温度
イオン温度:プラズマ中のイオンのエネルギー分布に対応する温度
プラズマ密度:単位体積あたりの荷電粒子の個数

どうやってプラズマを閉じ込めるの?

太陽は膨張しようとするプラズマの圧力を、自分の重力で閉じ込めている。
地上の核融合反応は、磁場やレーザーで閉じ込める。

① 磁場で閉じ込める   (慣性閉じ込め方式)
② レーザーで閉じ込める (ヘリカル方式、トカマク方式)

プラズマを閉じ込めるには「ねじれた磁力線」が必要。
 →なぜ磁力線に「ねじれ」が必要なのか?

磁力線をねじると、中心部から外側まで磁力線の無数の層が、
マトリョーシカのように、入れ子状に重なった状態になる。
この磁力線の多層構造によりプラズマを閉じ込めることができる。
ねじれの角度の変化が大きい方が、より強い磁力線のカゴになる。


ヘリカル方式は、ねじれた超電導コイルを使って磁力線をねじる。
 プラズマの中に電流を流す必要がないので、長時間の保持に優れている
トカマク方式は、プラズマの中に電流を流して磁力線をねじる。
 プラズマの中に電流を流すので、定常的に維持することが課題

ヘリカル方式:核融合科学研究所(LHD)
トカマク方式:ITER、那珂核融合研究所(JT-60)
慣性閉じ込め方式:国立点火施設(NIF・アメリカ)



どうやって加熱するの?

▼加熱
・オーム加熱:
  電場で加速された電子がイオンと衝突。
  運動エネルギーが熱エネルギーに変わり、プラズマの温度が上がる
・追加熱:中性粒子入射加熱法
・α粒子加熱:
  核融合反応によって発生したα粒子が、電子とイオンに衝突して加熱される

▼損失
・放射冷却:
・熱伝導:

中性粒子入射加熱法
高速の中性粒子を、磁場に閉じ込められたプラズマに入射。
運動エネルギーをプラズマ粒子との摩擦熱に変えて、プラズマ温度を上げる加熱法。

水素原子に電子1個を付加させた「負イオン」を生成。
(電極の表面にセシウムを被覆して電子を供給する)
180kVの高電圧で加速させ、秒速6000㎞の水素ビームをつくる。
電子を除去して、直径10mm以下の負イオンビームだけを取り出す。
770本以上のビームを10μmの精度で制御し、直径52cmの入射ポートに絞り込む。

3台の中性粒子ビーム入射加熱装置を用いて、14000kW以上のエネルギーを投入。
1億5000万℃のイオン温度、β値5%を達成した。
自己燃焼させるためには、ビームを2000kVで加速する必要がある。

どこまで達成したのか?

ローソン図(縦軸:中心イオン密度×閉じ込め時間、横軸:中心イオン温度)
 →達成の指標はローソン図でいいのか?
 →トカマクとヘリカルで指標が違う。どのような指標が適切か?



どんなリスクがあるのか? リスクの大きさは?

▼地震が起きたら?
原発の場合は・・・
「止める」制御棒を入れて核分裂反応を止めなければいけない
「冷やす」燃料棒の放射熱を下げるために冷やさなければいけない
     緊急炉心冷却装置で大量の水を格納容器に入れる必要がある
「閉じ込める」ヨウ素131やプルトニウムなどの放射性廃棄物の拡散を防ぐため

核融合発電の場合は・・・
「止める」自然に止まってしまうので暴走は起こらない。勝手に「止まる」
「冷やす」崩壊熱密度は原発の1000分の1。冷やさなくても大丈夫
「閉じ込める」飛散性の高い燃料のトリチウムを閉じ込める必要がある

原発は「止める」「冷やす」「閉じ込める」が重要だったが、
核融合発電は「閉じ込める」のみが重要

▼放射性廃棄物は出るの?
放射線を発するのは、
①燃料のトリチウム
②中性子により放射化した核融合炉

①トリチウムについて・・・
潜在的放射線リスク指数:放射性物質を許容濃度以下まで薄めるために必要な空気の体積
トリチウム:3.5×10^14
ヨウ素131:5.4×;10^17
(核融合発電ののトリチウムの放射線リスクは、原発のヨウ素のリスクの1500分の1)

②放射化した核融合炉について・・・
運転停止直後は、核融合炉の放射線リスクは、原子炉の放射線リスクの100分の1。
1年後には1000分の1、100年後には100万分の1になる。
 自然レベルまで下がるには何年かかるのか


エネルギーの取材リスト

再生可能エネルギー

▼北海道下川町
森林率が9割を超える林業のまち。
2009年度に、町役場や消防庁舎、公民館、福祉センターをまたいで、
暖房と給湯用の地域熱供給システムが導入された。
チップ燃料は町の森林組合が供給する。
2008年には「環境モデル都市」、2011年には「環境未来都市」に選定された。
2015年をめどに、市街地への地域熱供給のインフラ整備を検討している。
「一の橋バイオビレッジ」は2013年に完成した。
→取材したい!

また、町内には乳牛を中心に4000頭の牛がいる。糞尿を原料としたバイオガスを作り、
発電と地域熱供給を結びつけたコージェネレーションができるかもしれない。

エネルギーで未来を作る町~下川町の挑戦
http://frs-kyoten.blogspot.jp/2013/10/blog-post_14.html

▼北海道浜頓別町
市民風車「はまかぜちゃん」

▼青森県
NPO法人グリーンシティ・富岡敏夫さん
2001年に北海道グリーンファンドが北海道浜頓別町で、日本初の「市民風車」を作った。
泊原発に頼らないエネルギーを自分たちで作ろうという運動から始まった。
2003年には、秋田県天王町や青森県鰺ヶ沢町でも市民風車ができた。
2006年、青森県大間町に「まぐるん」ちゃんが完成。


▼岩手県葛巻町
「ミルクとワインとクリーンエネルギーのまち」
1981年に木質ペレットの製造事業を開始。
製紙用のチップ製造の際に生まれる樹皮の処理費用を減らす目的で始まった。
今では風力、太陽光、牛糞をメタンに変えるバイオガス発電プラント、
ペレットボイラーなど、さまざまな再生可能エネルギーを導入している。

▼秋田県
NPO法人環境あきた県民フォーラム・山本久博さん
風の王国プロジェクト。風車1000本。

▼山梨県北杜市
①北杜市村山六ヶ村堰水力発電所(320kW)
有効落差:85.24m、使用水量:0.5m3/秒、年間発電量は220万kWh。
横軸フランシス水車、2007年4月1日に発電開始。
この6年実際にどれだけ発電できたのか

川俣川の利水の「村山六ヶ村農業用水」の全長約16kmの用水路のうち、
山間部を通過する用水路の上流で取水し、
約1.3kmに渡って導水して落差約85mを使って発電している。
発電した電力は、近くの「大門浄水場」に供給。
送水ポンプや照明、冷暖房、コンピュータ
http://www.city.hokuto.yamanashi.jp/komoku/shisei/ondanka/1305554633-38.html

北杜西沢発電所220kW
北杜川小石発電所230kW
北杜蔵原発電所200kW
いずれも三峰川電力が運営。
見学は毎月第3水曜日、時間は13:30~16:00(2時間半)。③①②の順番で見学
受付は毎月第2水曜日まで。
http://mibuden.com/p/visit/visit/hokuto/



▼長野県飯田市
おひさまエネルギーファンド

▼100%エネルギー永続地域



コージェネレーション

▼恵比寿のコージェネ



パッシブハウス

▼鎌倉のパッシブハウス


▼軽井沢のパッシブハウス


スマートコミュニティ

▼柏の葉キャンパスシティ


▼藤沢サステイナブル・スマートタウン





エネルギーと私たちの社会

高エネルギー社会

GDPの成長のために物質的生産と消費が今後も拡大してゆく社会。
経済成長にとって「貪欲」が必要。
これまでの経済成長のおかげで、
身の回りには食料や衣服、住宅などのモノで溢れかえっている。

低エネルギー社会

人々が満ち足り、社会的公正や人々との交際、ゆとりなどに価値を見出す社会。
エネルギー消費の拡大は、必ずしも豊かさにつながらない。
エネルギーの消費を抑えられるだけでなく、さまざまな利点がある。
環境負荷が減らせる。資源が安定供給できる。
地球資源が公平に分配できる。貿易収支の赤字が解消できる。
「私たちがどのエネルギー源を選ぶべきか」ではなく、
「私たちは将来どれほどのエネルギーが必要なのか」を対話することが大切。
「供給」ではなく「消費」について話し合う。

▼価値観
価値とは、私たちが人生で意味があると考え、好ましいと思うすべてのもの。
「達成価値」と「存在価値」の2択ではなく、バランスを見つけることが重要。
価値観の対立は、二者択一では解決できない。
専門的技術や知識のみでの解決は難しい。
全体的な認識や、感性も組み合わせて解決策を探ったほうが良い。
「達成価値」と「存在価値」のバランスをどう取るかを考えることが大切。
専門家による科学的事実のみでなく、
ごく普通の人の感性、情緒、美的感覚、素朴な判断も用いて判断することが大切。

▼行動
もし社会の発展に影響を及ぼしたいならば、
生活習慣での消費のあり方で行動すること、
政治活動に参加して自分の意志を伝えることが必要。


▼熱を逃がすな
資本を燃料費に使うよりも、断熱性を高めることに使ったほうが良い。
熱はすき間から逃げるだけでなく、
密閉された壁や天井、窓ガラス、床からの熱伝導でも失われる。
室内を一定の温度に保つには、失われる熱量と同じ熱量が必要。
→日本ではどのくらいの熱が失われいているのか?

地域の熱供給は、電力と回収可能な熱の両方を利用できる発電所
(コージェネレーション)で供給できる。
小型のコージェネレーションで小さな町や村でも利用できる。
→デンマークのコージェネレーションについて調べたい


▼GDP
GDPは私たちの豊かさの指標ではない。
保有は表せず、物を買い換える消費だけが表れる。
金銭に換算できるものだけを表している。
安全や健康、幸福、美などの豊かさは含まれない。
富の分配は示していない。格差は現れない。
報酬のない活動は含まれない。
GDPの伸びを再優先する政治家と、より良い人生を望む生活者との、
ズレが大きくなっている。

▼重要な問い
経済成長が今後20年もの間、私たちの目標であり続けるのか。
生産と消費について「もっとほしい」のか、「もう十分」なのか。
成長か充足か(Growth or Full? Grow or Satisfy?)
今以上の高収入と家族や友人と過ごす自由時間のどちらを求めますか。
私たちはいつまで経済成長を続けなければいけないのか。
経済成長を続けることのベネフィットとリスクは何でしょうか。

▼調べたいデータ
日本の消費エネルギーの部門別内訳
収入と自由時間どちらがほしいか(国民生活白書)
平均労働時間の推移
日本のエネルギーフロー(どれだけの熱が逃げているか)
デンマークの断熱技術


ベクショー Sweden


“The Greenest City in Europe” というキャッチコピーを掲げる環境先進都市。
CO2排出量を2025年までに1993年比で70%削減する目標を掲げている。
2008年までの15年間ですでに、35%の削減に成功している。
さらに、63%の経済成長率を記録した。

暖房部門のCO2排出量を最も削減させた。
1人あたりの暖房部門の年間CO2排出量を、
2000kg(1993)から500kg(2009)に減らした。

地域暖房


木質バイオマスで沸かした熱湯を、
市街地の90%のエリアの住宅と工場に、パイプラインで供給している。
一戸建て約3000戸、集合住宅10000戸、店舗7000軒、工場500カ所。
市が株式を全て保有するベクショーエネルギー社(VEAB)が実施。

熱湯は街中を巡った後工場に戻り、再びボイラーで温められる。
夏は90℃で出発し70℃で還ってくる。
冬は高圧にして120℃で出発し、50℃で還ってくる。

燃料はチップ(50%)製材所の粉(40%)倒れた木材(10%)
1日に5000立法m燃やす。
木の上の方の枝払いしたものを使う。

スウェーデンでは法律で伐採後の再植林が義務付けられている。
燃焼で排出したCO2は再び木に吸収されるため、CO2は増加しない。
燃やした後の灰は伐採地に還元し、再森林化に役立てる。
木くずの原料は半径100km圏内から集められている。

→植林した木が育つ速さと、燃やした木材のCO2排出の速さは同じなのだろうか?





スペイン


総発電量の32%がRenewable(2012)
総エネルギー量の18%がRenewable(2012)
風力の導入量が22784MWで最も多い
風力が総発電量の25%以上を占めている
発電設備容量 89944MW
発電量 280,000GWh 280TWh
再エネ産業のGDPの寄与率は約1%
雇用は直接・間接を合わせて約11万人

スペインの送電会社 REE(Red Electrica de Espana)
送電網のネットワークコントロールが注目されている
再エネコントロールセンター(CECRE)

ストーリーを考える2

⓪アンケート

❶発電コスト(原発は本当に安いの?)
 ▼現在
  電気料金の推移(World Japan)
  エネルギー源別の発電単価(電事連、大島、Bloomberg)
  バックエンド事業の費用推計(コスト等検討小委員会)
 ▼将来
  シナリオごとの発電コストの増減

❷GDP(電気料金が高くなると、GDPにどんな影響があるの?)
 ▼現在
  各国のGDPとエネルギー消費量の推移
  エネルギー効率(GDP/エネルギー消費量)
 ▼将来
  シナリオごとのGDPの増減

❸雇用(電気料金が高くなると、雇用にどんな影響があるの?)
 ▼現在

 ▼将来
  シナリオごとの雇用の増減
  ドイツの再生可能エネルギー関連の雇用の増加

扇島太陽光発電所

出力      13MW (13000kW)
所在地    神奈川県川崎市
運転開始日 2011年12月
面積     約23ha
パネル    京セラ製 6万4000枚

▼1年間の発電実績
 電力量    1510万kWh
 発電効率  1510万kWh / 1億1388万kWh × 100 = 13.26%
 CO2排出量削減効果  7000t
 http://www.tepco.co.jp/cc/direct/images/121219a.pdf

浮島太陽光発電所


出力      7MW (7000kW)
所在地    神奈川県川崎市
運転開始日 2011年8月
面積     約11ha
パネル    シャープ製単結晶Si 3万8000枚

▼1年間の発電実績
 電力量    945万kWh
 発電効率  945万kWh / 6132万kWh × 100 = 15.4%
 CO2排出量削減効果  4400t
 http://www.tepco.co.jp/cc/direct/images/120810a.pdf

PR施設「かわさきエコ暮らし未来館」を併設

ストーリーを考える

①現在
 エネルギー源別の発電コスト(原発のコストを考える)
 GDP(エネルギー効率)
 雇用(エネルギー源別就業者数)

②将来
 シナリオごとの発電コストの予測
 シナリオごとのGDPの予測
 シナリオごとの雇用の予測

実演の最後にアンケートをとり、結果を公表する
→どんな質問をする?

Ex)
・原発は必要だと思うか
  Yes
  No
・なぜ必要だと思うか
  電源コストが安いから
  CO2排出量が少ないから
  その他
・電気代がいくら増えるまで我慢できるか
  10円/kWhまで
  5円/kWhまで
  少しでも我慢できない

論点を整理する

原発は本当に安いのか
脱原発を進めて再エネに投資すると、どのくらい電気料金が上がるのか
電気料金が高くなると、どのくらいGDPに影響があるのか
電気料金が高くなると、どのくらい雇用に影響があるのか
ドイツの事例の成功点は
ドイツの事例の問題点は

データを集める


【生産量】
▼石炭の生産量
 OECD/IEA, Coal Information 2011 ←エネルギー白書2012
▼原油の生産量
 BP統計2011 ←エネルギー白書2012
▼天然ガスの生産量
 BP統計2011 ←エネルギー白書2012
▼ウランの生産量
 世界原子力協会(WNA)←エネルギー白書2012

【1次エネルギー】
▼世界のエネルギー源別・1次エネルギー消費量
 BP統計(2012)
 IEA,・Energy Balance 2011 ←エネルギー白書2012
▼日本のエネルギー源別・最終エネルギー消費量
 エネルギー白書2012
 総合エネルギー統計
▼世界の部門別・最終エネルギー消費量
 ●
▼日本の部門別・最終エネルギー消費量
 エネルギー白書2012
 総合エネルギー統計

【電力(2次エネルギー)】
▼世界の発電設備容量の推移
 ●
▼日本の発電設備容量の推移
 資源エネルギー庁「電源開発の概要」「電力供給計画の概要」←エネルギー白書2012
▼世界の発電電力量の推移
 ●
▼日本の発電電力量の推移
 資源エネルギー庁「電源開発の概要」「電力供給計画の概要」←エネルギー白書2012

【Future】
▼世界のエネルギー消費量の見通し
 BP統計(2012)BP Energy Outlook 2030

【Channel】
▼石炭の輸入先
 財務省「日本貿易統計」←エネルギー白書2012
▼原油の輸入先
 資源エネルギー庁「資源・エネルギー統計年報」←エネルギー白書2012
▼LNGの輸入先
 日本関税協会「日本貿易月表」←エネルギー白書2012

【Other】
▼エネルギー源別可採量
 BP統計(2012)
▼エネルギー自給率
 エネルギー白書2012

【CO2 emission】
▼エネルギー源別CO2排出量
 電中研(2010)
 Jacobson(2009)←大島(2010)

【Cost】
▼世界の電気料金の推移
 IEA, ENERGY PRICES & TAXES, 1stQuarter2012 ←エネルギー白書2012
▼日本の電気料金の推移
 電力需要実績(確報)各電力会社決算資料 ←エネルギー白書2012
▼エネルギー源別発電単価
 大島(2010)
 Bloomberg(2013)
▼エネルギー源別総単価(発電+開発+立地)
 大島(2010)
▼産業向け・家庭向け電力価格の推移
 IEA Energy Prices & Tax(2012)←伴(2012)
▼EROI・EPR(エネルギー投入収支比率)
  ●
▼エネルギー効率(GDP/エネルギー消費量)の推移
 WDI online(?)

【Scenario Case】
▼シナリオごとの発電コストへの影響
 伴(2012)
 RITE(2012)
▼シナリオごとのGDPへの影響
 伴(2012)
 RITE(2012)
▼シナリオごとのエネルギー源別就業者数への影響
 伴(2012)

【Renewable】
▼世界の再生可能エネルギー源別導入量
 REN21 Global Status Report(2012)
▼日本の再生可能エネルギー源別導入量
 REN21 Global Status Report(2012)
▼世界の再生可能エネルギー投資額
 REN21 Global Status Report(2012)
▼各国の再生可能エネルギー導入目標値
 ●

【Nuclear】
▼エネルギー源別の国の資金投入の割合
 大島(2010)
▼日本の核燃料サイクル計画のしくみ
 ●
▼日本政府のバックエンド事業の費用推計
 総合資源エネルギー調査会電気事業分科会コスト等検討小委員会(2004)←大島(2010)

【Policy】
▼固定価格制(FIT:Feed-in Tariff)
▼固定枠制(Quota Obligation)
▼競争入札制(biding scheme)

【ドイツ】
▼ドイツの再生可能エネルギー導入手法
 電力供給法 Electricity Feed-in Law(1991)
 再生可能エネルギー法(EEG2000)
 再生可能エネルギー法(EEG2004)
 再生可能エネルギー法(EEG2009)
▼ドイツの再生可能エネルギー源別の設備容量
 BMU(2008)←大島(2010)
▼ドイツの再生可能エネルギー源別の発電量
 BMU(2008) ←大島(2010)
▼ドイツの再生可能エネルギー関連の雇用への影響
 Federal Ministry for the Environment, Nature Conservation and Nuclear Safety(2007)←大島(2010)
▼再生可能エネルギーによって生じる追加費用負担額の予測
 Federal Ministry for the Environment, Nature Conservation and Nuclear Safety(2007)←大島(2010)


【情報源】
 経済産業省資源エネルギー庁 エネルギー白書
 BP   Statistical Review of World Energy
 REN21 Renewable Energy Policy Network for the 21st Century
 Bloomberg New Energy Finance
 World Development Indicators(WDI)
 BMU ドイツ連邦環境省
 RITE 地球環境産業技術研究機構

【研究者(環境経済学)】
 大島堅一(立命館大・国際関係学)
 植田和弘(京都大・経済)
 伴金美(大阪大・経済)

洋上風力発電



【次世代カーボンファイバーで洋上風力発電基地を!】

 金属に代わる素材として注目されているカーボンファイバー(CF:炭素繊維)。金属より軽量で、頑丈。よって航空機素材として需要が高まっている。日本は既に世界最大の生産国だ。

 「しかし、最先端素材にも弱点はあったのです」と語るのは太田俊昭・九大名誉教授(構造工学)。カーボンファイバー、読んで字のごとく“ファイバー ”(繊維)をプラスチックで固化したもの。「だから、引っ張りには極めて強いが、圧縮には弱い。固化材のプラスチックは圧力にはもろく、引っ張り強度の 10分の1以下。だから圧縮にやられる」。加圧では鉄筋コンクリートに負ける。

 そこで、教授はカーボン繊維を何百万本も束ねて棒状にして圧縮力を与えるなど物理加工を試みた。すると炭素繊維は内部膨張し応力発生して超堅牢カーボンファイバーが誕生した。引張強度に加えて、強い圧縮強度や接合能も獲得したスーパーカーボンファイバーが世界で初めて完成したのだ。この夢のカーボンファイバーは、第二世代、セカンダリーカーボンファイバー(SCF)と命名された。これで、鉄やコンクリートを完璧にしのぐ夢の素材となった。


【8大学合同“夢のプロジェクト”】

 そこで太田教授は、新しい夢にチャレンジを開始した。それが洋上風力発電だ。この夢のカーボンファイバーが、エコ技術として大きく羽ばたく場を見つけたのだ。教授の言う“ブレイクスルー素材”、このSCF登場で、風力発電は効率、建設コストともの飛躍的向上が可能となった。

 日本の風力発電エリアでは風速平均4mの風が年に3分の1ほどの期間吹く。それが洋上だと風速は約2倍となる。デンマーク、ドイツ、英国など世界の風力発電先進国がこぞって洋上発電にシフトしている理由だ。

 太田教授は京大、宮崎大など国内外8大学から研究者たちを募って合同研究チームを発足させた。建設、土木から海洋生物学まで、まさに学際混成チーム。海上ウィンドファーム構想は、海上にハチの巣状に浮かべた六角形のコンクリート構造物(一辺300m)の上に、従来の3倍以上の風力を得る直径100mの超大型風レンズ風車を設置する。素材はもちろんSCFだ。


【発電能力4倍の超大型風レンズ風車、浮体の寿命100年以上】

「これまで最大で5MW(メガワット)の発電能力が3~4倍の15~20MWと飛躍的に増加します」。   

 送電線は使わず、発電した電力で海水を電気分解して“水素”をつくり、それを船で陸上に運ぶ。後は水素発電や燃料電池に使う。風車、浮体などに使用する新素材SCFの耐用年数はなんと100年以上…! これにより大幅なコストダウンが可能となる。

 この浮体式の風力発電基地では原発1基分に相当する100万kW発電を、超低コストでめざす。海水を逆浸透膜で真水に変え、水素を生成・貯蔵する技術も、他分野の研究者の知識が活かされている。

 新素材SCFは (1) 風車本体、(2) 水素容器、(3) 浮体 ―― のすべてに活用される。日本最新の頭脳による「高強度素材」「効率的風車」「水素貯蔵」など先端技術が結集した夢のプロジェクトだ。資金の目途がつけば7~10年で実用化可能だ。


【内側の静水域で養殖漁業を行う】

 どうして、このSCF風力発電が抜群の効率を確保できるのか?

 まず建設コスト。1kW当たりで試算する。現在世界で推進されている洋上タイプは着底式。遠浅の海上でないと建設不能だ。日本でも北電、東電、東大などが取り組んでいる。構造の補強材は鋼製。陸にケーブル送電を行い建設費は陸上の2倍、約40万円かかる(kW単価)。この着底方式は、地震やメンテナンス、さらに漁業補償などの難点も抱えている。

 さて、太田教授らの浮上式SCF風力発電基地の建設費は、なんと10万円という安さ。「素材SCFが軽量、頑丈、耐久と3メリットあるからです。さらに六角形の中抜き構造なので、波浪、台風にも安定性があります」と教授の声も明るい。

 「さらに…」と驚くべきアイデアも教えてくれた。「径600mくらいの六角構造の内側は静水域。ここを養殖池として使う。コンクリート浮体の底に丸窓を開けて、そこから発光ダイオードで光を当て、餌になる有用プランクトンを増殖させるのです」。

 風力発電装置が漁業養殖装置を兼用する。一方は漁業補償。こちらは漁業振興。ダブルメリットの面からも九大プロジェクトに軍配が上がる。

 ここでは九大農学部(水産業)の研究者が実力を発揮した。発光ダイオードの特定の波長は赤潮プランクトンなど有害微生物の発生は抑制する、という細かい芸当まで行う。「30人近い、各分野の先生たちが集まってくれたおかげです」と太田教授。


【政府よ 国策として建設を推進せよ】

 「研究費です。ある財団に応募して通れば6000万~7000万円の研究費が得られるのですか…。それが入れば水槽で実証試験ができます」。なんと、先立つもので、これほど困窮しているとは……!

 経済大国の名が恥ずかしい。「良すぎて使えない」という変な断り文句を思い出した。

 しかし、この超エコ素材に着目する機関も増えている。一万m以上もの深海探査を行う海洋研究開発機構がSCFの超軽量・高強度に着目したのだ。彼らはこれまでチタン合金を使用してきた。それに代わる素材としての期待だ。横浜港湾技術研究所も鉄筋コンクリートに代わる高耐蝕性の土木建材として注目。提携を申し入れてきた。

 「じつは、SCFの魅力はまだまだあるのです」と太田教授。「“情報”も封じ込めることができるのです。つまり光ファイバーも通せる」。ナルホド……。「さらに、これまで不可能だったカーボンファイバーの高接合技術も日、米、加で国際特許を取っています」。政府よ、国策としてSCFウィンドファーム建設を推進せよ。また外国に盗まれるなどの愚は、繰り返してほしくない。


【人】
 太田俊昭・九大名誉教授(構造工学)

【Link】
 次世代カーボンファイバーで洋上風力発電基地を!

スマートグリッド


スマートグリッドとは、
「供給側と需要側の双方向性を持つ、電力と情報の新しいインフラ」。

自然エネルギーの発電量が増えると出力の予測が難しくなり
周波数が不安定になり「電力の質」が悪くなる。

分散型電源からの電力流入をリアルタイムで把握して制御し、
安定的に電力を供給する。

核融合

ビル・ゲイツ氏と東芝が次世代原子炉開発へ

 電機メーカー大手の東芝とアメリカのマイクロソフト社の創業者、ビル・ゲイツ氏が、次世代原子炉を共同開発することで交渉を始めた。ベンチャー企業はゲイツ氏が出資する「テラパワー」。昨年11月、ゲイツ氏とテラパワー幹部が来日し、東芝側に協力を求めた。12月には両社が秘密保持契約を結び、技術協力の可能性を探る検討作業に入ったという。

 東芝によると、テラパワーが開発を進めているのは「TWR」と呼ばれる次世代原子炉のひとつ。現在世界で稼働している「軽水炉」が使う濃縮ウランを燃料とせず、天然ウランやウランを濃縮する際にできる副産物の劣化ウランを使う。実現すれば、放射性廃棄物を減らせるうえ、数年おきに燃料交換が必要な既存の原子炉と違い、最長で100年程度にわたり燃料交換の必要もないという。

 東芝は独自に「4S」と呼ばれる小型新型炉の実用化をめざしている。TWRと共通する技術も多いため、テラパワーとの提携に利点があるかを検討しているとみられる。ただ、極めて長い期間の核反応に耐えられる原子炉用素材の開発や、安全性の検証なども必要で、TWRの実用化に向けたハードルは高い。

原発解体

 火力発電所に比べて二酸化炭素の排出が少なく、発電出力が大きいことで注目される原子力発電所。新たな建設が進む一方で、初期につくられた原発は役割を終えて解体され始めている。世界で閉鎖された数は既に120基余り。日本でも「ふげん」「東海発電所」の2つが解体に着手した。

 日本原子力研究開発機構の新型転換炉「ふげん」(福井県敦賀市明神町)は2003年3月で運転を終えていた。08年2月、国から廃炉に向けた作業計画の認可を受け、「原子炉廃止措置研究開発センター」と名を改めた。現在は放射能汚染レベルが低い給水加熱器や配管などの解体撤去、重水の回収・搬出といった作業を進めている。計画では、原子炉本体の解体に着手するのは約9年後で、すべてを撤去して更地にするのは28年度。ふげんの本格運転期間は24年だったが、同じくらいの年月をかけて無に帰されることになる。

 若狭湾エネルギー研究センター(同市長谷)は、機器や配管の放射能除去、原子炉設備の切断に、「レーザー技術を応用する」研究を進めている。18年度頃から原子炉の解体を本格化する予定だが、放射化した金属の粉じんで作業員が被曝することを防ぐため、切断作業は水中で行う方針を決めている。レーザーを用いれば作業が早く進み、粉じんも舞い上がらないといったメリットがあるという。ふげんで近く、放射能を帯びた配管表面をレーザーで薄く削り取り、放射性廃棄物を減らす実験を行う予定だ。同センター研究開発部長の峰原英介(61)は「廃炉用に開発した技術は様々な産業で使える。ふげんは技術実証の貴重な実験場となる」と期待する。

 地元の産業界も新たな雇用機会として関心を寄せる。同センターで05年度から7回開かれた廃炉作業に関する企業研修には、20社から28人が参加。放射線管理下での作業実習も行われた。

【課題】
①放射性廃棄物最終処分場が決まっていない



【人】
 若狭湾エネルギー研究センター・エネルギ開発G 重田達雄
 原子炉解体粉塵の抑制に関する研究

【Link】
 原子炉廃止措置研究開発センター
 若狭湾エネルギー研究センター

原発高齢化問題


 敦賀原子力発電所1号機(福井県・35.7万kW)が2010年3月、商業用原発としては国内で初めて運転開始から40年を迎える。国内で運転から40年を迎える原発は14年末までに7基にのぼり、そのほとんどが運転を継続するとみられ、日本は「高齢原発時代」に入ることになる。

 原発の寿命について、国に特に規定はないが、電力各社は当初30~40年の運転を想定していた。しかし、原発の新規立地が難しく、増設にも地元同意に時間がかかることから、資源エネルギー庁は96年に「安全性を確認すれば60年運転しても健全性は確保できる」との判断を示していた。原子炉の性能は変わってないのに耐用年数だけを延ばした。

 経済産業省原子力安全・保安院は09年9月、敦賀原発1号機の10年間の継続運転を認可。日本原電は、3号機を運転開始する16年に、1号機の運転を停止すると決めた。

 運転延長に基づく定期検査は、当初は09年7月に終える予定だったが、制御棒駆動水圧系統の弁13台に傷を発見。補修のため4回も検査期間が延び、営業運転再開は半年遅れる見通しだ。

今後運転開始から40年を迎える原発
  ① 日本原電敦賀1号機   2010年3月
  ② 関西電力美浜1号機   2010年11月
  ③ 東京電力福島第一1号機 2011年3月
  ④ 関西電力美浜2号機   2012年7月
  ⑤ 中国電力島根1号機   2014年3月
  ⑥ 東京電力福島第一2号機 2014年7月
  ⑦ 関西電力高浜1号機   2014年11月

小水力発電


 絶え間なく流れる河川や農業用水を利用し、水車を使用して発電する、小さな規模の水力発電、いわゆる「小水力発電」。大規模なダムも必要なく、環境への負担は少なく済む。

【導入事例】
 山梨県都留市役所 市役所で使う15%の電力を小水力発電でまかなっている。
 京都府嵐山    桂川に設置した発電機で渡月橋に明かりを灯している。

 栃木県那須塩原市 那須野ヶ原土地改良区連合では、農業用水を利用した発電機をこれまでに7基建設。合計出力970kWは、約500戸の家庭が使う電力に相当する。これを売電することで、土地改良区の水門や事務所など、農業施設の電気代にあてている。これにより、地元農家の負担は、年間、合計で千数百万円軽減されるという。
地元農家の人は「(農家一戸あたり年間で)4万円ぐらい得しているのかな」と話す。那須野ヶ原土地改良区連合の星野恵美子事務局長は、「農家の方は高齢化がすすんでいたり、生産物の生産性が上がらなかったりして、結構厳しい。農家の負担軽減を図られるものは何かということで考えたのが農業用水路を使った小水力発電だ」と説明する。

 愛媛県旧別子山村(現・新居浜市) 戦後間もない頃から現在まで、自然に流れる水を利用し、村全体の電力をまかなってきた。河川の上流で採取した水を、パイプで落とし、その勢いで発電所の水車を回す。管理運営は、村から大手の会社に引き継がれたが、現在も約150世帯の電力を自然の水から生み出している。電気代も通常の4分の3程度。かつては、山間部を中心に小水力による電力の自給自足は決して珍しくなかった。しかし大手電力会社の送電網が整備されるに従って、次第に姿を消していった。

 富山県富山市の小さな集落の農家 今夏から、山の水を利用して家庭や農業で使う電気の自給自足をしようと、水車の建設が始まった。この実験は、独立行政法人「科学技術振興機構」の助成を受けて、富山国際大学(上坂博亨教授)が実施するものだ。水を高出力の小型水車と直径4mの「上掛け水車」という2つの水車へ送る。落差12mのエネルギーを利用して、2台の水車を回し、あわせて1.5kWの発電を目指すという実験。1.5kWは、ちょうど農家一軒をまかなえる程度の電力だ。実験に協力している農家、橋本さん夫妻は、この地で野菜作りや養鶏などを通じ、食糧の自給自足を行ってきた。今度は、水車の発電によって、家庭の照明など、生活に必要な電力をまかなうことを目指している。さらに、橋本さんは、卵などの配達に1日50キロ走るため、水車の発電で充電できる電気自動車を導入した。妻の順子さんは、「水が豊かなところだから、その水でエネルギーも自給できないかと。小水力発電というものに期待している」と話す。着工から半年経った12月、いよいよ水車が完成した。

【課題】
①手続きが複雑
 河川の管轄は、国土交通省、農業用水路は農林水産省で、発電は経済産業省で、電話帳ほどの申請書が必要。長野県大町市に住む川上博さんは、自宅前の農業用水路で発電を始め、家庭の電力の半分をまかなっているが、許可を得るのに申請してから1年1カ月かかったという。

②売電価格が安い
 太陽光発電の場合、48円/kWhで買い取られることになったが、小水力発電は10円/kWh程度だ。経済産業省では、小水力発電も含めた再生可能エネルギーの普及に向け、買取価格などの検討を進めている。全国小水力利用推進協議会の中島大事務局長は、小水力発電の普及には、「手続きが1カ所で済むようにするということが大きな鍵。また、買取価格は大体25円kWh。特に規模の小さいものなら30円kWhぐらいで買ってもらえれば、補助金がつかなくても、経済的に成り立つ発電所がつくれる」と話す。

【Person】
全国小水力利用推進協議会 中島大事務局長
那須野ヶ原土地改良区連合 星野恵美子事務局長
富山国際大学 上坂博亨教授

【Link】
 小水力発電ニュース
 ガイアの夜明け
 自然エネルギー技術開発会社「シーベルインターナショナル」
 農林水産省・小水力発電の導入に向けたトータル支援

フランス・2010年から炭素税導入

 フランスでは2010年1月から温暖化対策の一環として軽油、石炭、ガソリン、ガスに炭素税が課せられる。導入される炭素税の税率はCO2排出量1トンあたり17ユーロ(約2200円)で、冬の暖房用エネルギーとして主に利用されているガスは1リットルあたり0.4ユーロセント(約0.5円)、軽油は1リットルあたり4.5ユーロセント(約6円)と少額ではあるが、暖房費の値上がりにつながるのは確かだ。
 一方で、エコ・エネルギー奨励のため、暖炉や薪ストーブ(熱効率の高いガラス戸付きのものに限定)の購入は、エコ減税の対象となり、購入費の40%が所得税から控除される。
 欧州では1990年のフィンランドを皮切りに、スウェーデン、デンマークが炭素税を導入している。