葛巻町・エネルギー自給率160%のまち


人口6741人(2014.2.1現在)ここ10年で1300人減った。
1000mを超える山々に囲まれた山村。86%が森林。
「ミルクとワインとクリーンエネルギーのまち」
酪農とヤマブドウを使ったワインが盛ん。
電力自給率160%。
1日あたりの牛乳生産量120t。
林業:カラマツ集成材→建設用材

▼歴史
戦前は林業と軍馬生産。戦後は林業と酪農に力を入れた。1975年に北上山系開発事業が着工。牧草地や農道75㎞、牧場への送電線が整備された。


▼くずまき高原牧場
1892年にヨーロッパから乳牛が導入された。1975年、大規模な畜産団地作りを開始。牧草地1100ha、農道75kmを整備した。翌76年に葛巻町畜産開発公社を設立。酪農家から牛を預かって、妊娠させて返す事業を始めた。
日本全国から、年間1800頭の子牛が預けられる。夏は山で放牧。10月末に山から降りて牛舎に入る。町内には11000頭の乳牛がいる。(住民より多い!)
糞尿は1日あたり400〜500トン。

▼畜糞バイオガスプラント
糞尿を肥料に変えるときにエネルギーを生み出す。
メタンガスを使って発電。
プラントの処理能力は1日あたり13トン(乳牛200頭)
13トンの糞尿と、200kgの牧場内からでる生ごみを混ぜて発酵。
発電機は37kW。熱は43000kcal。回収して施設内で活用している。
どうやって
熱はどうやって活用してる
→もっと拡大できない理由は?

▼木質バイオマス・ガス化発電設備
発電出力:120kW、熱回収量:266kW
エネルギー効率:電気24%+熱回収率51%=総合効率75%
1日あたり15時間稼働させて、3トンのウッドチップを利用
主な原料はカラマツの間伐材を使用
→試験事業の結果は?

▼木質バイオマス
葛巻林業が1981年、木質ペレットの製造事業を開始。製紙用のチップ製造の際に生まれる樹皮の処理費用を減らす目的で始まった。
国はオイルショックを受けて、石油の代替エネルギーのひとつとして、木質ペレットに注目。一時は全国で20カ所の工場ができたが、石油価格の低下により最後まで残ったのは葛巻林業を含めた3カ所だけだった。
→なぜ残れた?

▼ペレットボイラー・ストーブ
森の館ウッディ、25万kcalを暖房に使用(1988)
介護老人保健施設「アットホームくずまき」50万kcal×2基を暖房と給湯に使用(2003)
ペレットストーブのリース事業(2003)




▼グリーンパワーくずまき風力発電所
1750kW×12基:21000kW、直径66m、デンマーク製
年間予想発電量は5400万kWh。16000世帯分に相当する。
葛巻町の年間消費電気量(どれだけ?)の2倍に相当する。

大型風車の建設には数十メートルのタワーや羽根を運ぶため、大型トレーラーが通れる道路を整備する必要がある。牧場開発で作った農道が生かされた。
1999年に袖山高原に400kW×3基の風車を建設。2003年に電源開発が上外川高原に21000kWの風車を建設した。

今では風力、太陽光、牛糞をメタンに変えるバイオガス発電プラント、
ペレットボイラーなど、さまざまな再生可能エネルギーを導入している。


▼鈴木重男町長
「酪農、森、山は葛巻に昔からあった。しかし、そこから生まれる牛のふん尿、間伐材、山の上の吹きっ放しの風は(利用しなければ)無駄なものだ。これらを考えた先に、クリーンエネルギーがあった」

真っ黒焦げのカプセルの謎




宇宙飛行士の若田光一さんを無事に地球に帰還させた、ロシアの有人宇宙船「ソユーズ」。今回は地球にたどり着いたカプセルを、詳しく観察してみたいと思います。

カプセルは釣り鐘のような形をしていて、高さは約2.1メートル。大男の身長よりも少し高いほどの大きさです。中には3人の宇宙飛行士が乗ることができます。それでは、表面をよーく観察してみましょう。何か気づきましたか? 表面が黒いですね。実は真っ黒焦げになっているんです!

なぜカプセルは真っ黒焦げになったのでしょうか?

その謎をとく鍵は、私たちが普段あまり気にしていない「空気」です。空気も私たちと同じように重力で地球に引っ張られています。だから、地球から離れれば離れるほど、重力が弱くなって空気が薄くなっていきます。若田さんが半年間暮らした、国際宇宙ステーション(ISS)の近くの宇宙には、ほとんど空気がありません。そして、空気がほとんどない宇宙から、空気がある地球に高速で突っ込むときに、カプセルが火の玉のように熱くなってしまうんです!

皆さんは自転車のタイヤを、空気入れを使って膨らませたことはありますか? そのときに、タイヤや空気入れが少し熱くなっていたと思います。実は気体を急に圧縮すると、気体の温度が上がるんです。逆に、スプレー缶を噴射したあとに、缶が冷たくなりませんでしたか? これは先ほどと逆で、急に空気を膨張させたので温度が下がった例です。

ソユーズのカプセルが、時速600㎞ほどで空気に突っ込んだときにも、空気が急に圧縮されるので空気の温度が数千度にまで上がります。だからカプセルが真っ黒焦げになっていたんですね。このように宇宙から地球近くの空気に高速で突っ込むことを「大気圏再突入」と呼んでいます。

最後に、小惑星探査機「はやぶさ」のカプセルが大気圏再突入したときの、美しい写真を紹介します。これは、突入したときの激しい光が夜空を彩った“人工の流れ星”です。



カプセルが高速で大気圏に突入すると、
進行方向の空気が断熱圧縮され、高温になる。
→何℃まで上がる?
→カプセルの素材は?

カプセルの直径は2.2m、高さは2.1m。釣鐘型。
ソユーズのカプセル(帰還船)の表面は、
プラスチックで出来た耐熱材「アブレータ」で覆われている。

大気圏に再突入すると、
アブレータ自体が溶けて熱分解し、
融解熱と分解熱、炭化したアブレータによって内部を保護する。

再突入時、機体は数千℃という高温にさらされる。機体の外側は「アブレータ」と呼ばれる耐熱素材で覆われている。アブレータは高温になると、表面から溶けて炭化。そのとき発生するガスが膜となって熱の流入を抑える。また、気化熱によって熱を逃がし、内部に高熱が伝わるのを防ぐ。

▼再突入の高度
高度約100㎞、速度170m/s(時速612㎞)

宇宙から戻ってくる経路を計算する場合には、便宜的に再突入点として高度120kmを使うことがありますが、それは、そのあたりより低い高度では大気の影響を取り入れた方がいいことから、計算に使うプログラムを変更したりする切替点として使っているだけです。実際に空力加熱や空気の力が大きくなってくるのは、高度80km前後です。


再突入のときに強い光を発する?
→はやぶさの再突入の写真・動画を使う?

若田さんお帰りなさい




澄み渡った青空に、白い点がぽつり。よーく見ると・・・、それは白くて大きなパラシュートを広げた、宇宙飛行士たちを乗せたカプセルでした。

「若田さん、お帰りなさい」。

国際宇宙ステーション(ISS)の船長を務めた宇宙飛行士の若田光一さんが、日本時間の14日午前11時ごろ、地球に帰ってきました。今回のミッションでは、日本人ではこれまでで一番長い188日間も、宇宙で暮らしていました。

パラシュートが落ちる速さは1秒に7メートルほど。スクーターが走るほどの速さで、ゆっくりと風に揺られて舞い降りてきました。目指す場所は、カザフスタンという国のだだっ広い草原のど真ん中。最後にガスを一気に噴き出して、地面とぶつかる衝撃を少しでも和らげます。

着陸してから数分後、がっしりとした体格の大男4人が、若田さんをカプセルから優しく引き上げました。その後、6人がかりで手足や体をそっと抱えられ、近くに用意されたソファへ。笑顔を見せて、「大丈夫」と語りかけるように親指を上に突き上げました。

こんなに元気そうなのに、なぜ1人で歩かないのでしょうか?

実は「歩かない」のではなく、「歩けない」のです。皆さんの前にある物を持ち上げて、手をそっと離してみてください。どうなりましたか? 下に落ちましたよね。実は身の回りのものはすべて、地球に引っ張られているのです。

でも、若田さんがいた宇宙は、ほとんど引っ張られず、宙にぷかぷかと浮いてしまうんです! とっても楽しそうですが、大変なこともあります。皆さんみたいに力を入れて立たなくてもいいので、筋肉や骨がすっかり弱ってしまうのです。なので、地球に帰ってきたばかりの宇宙飛行士は、自分の力で歩けないのです。

「地球は私たちみんなの、かけがえのないふるさとだなと感じた」。若田さんは地球のそよ風をほおに感じながら、そう語りました。地球の「引っ張り」に慣れて元気になったら、もっといろんなことを聞いてみたいですね!




若田光一さん(50)
4回目のISS。3月からはアジア人初の船長(コマンダー)を務めた。
今回の宇宙滞在時間は188日。日本人宇宙飛行士の1回の飛行では最大。
通算では348日で日本最長。

▼帰還までの流れ
3時間25分前 3人が乗り込んだソユーズをISSから切り離す
55分前   軌道を離れるためにエンジンを噴射
      カプセルを切り離す
23分前   大気圏に再突入
15分前   3人を乗せたカプセルがパラシュートを開く
1秒前    衝撃を和らげるために逆噴射する

着陸後、カプセルから出された若田さんは、救援部隊に持ち上げられ、「スパシーバ(ありがとう)」と話しかけ、用意された椅子に笑顔で座った。健康状態のチェックを受けながら、ペットボトルに入った水を飲んだり、携帯電話でにこやかに話したりした。
「草原のそよ風に迎えられた気がする。やっぱり地球はよい」

着陸した場所は、中央アジア・カザフスタンの草原地帯。

着陸地点の近くのテントで、体を曲げ伸ばしするなどの簡単な医学検査を受けた。
「半年間で地球を3千周くらいした。1周地球をまわるたびに、地球は私たちみんなのかけがえのないふるさとだなと感じた」

若田さんは日本時間14日午後、カザフスタンのカラガンダ空港に到着。
米航空宇宙局(NASA)の専用機で拠点のある米国ヒューストンに向かった。
医学検査で体調に問題はなく、地上の生活に慣れるリハビリを行う。



▼帰還の途につく前の若田さんのつぶやき
「今日、ISSを発ち、地球に帰還します。暗黒の宇宙に浮かぶこの青く美しい惑星が故郷であることをありがたく感じます。半年間の滞在中、応援ありがとうございました」

核融合発電の放射性リスクの考察

核融合発電にかかわる放射性物質

核融合発電にかかわる放射性物質は、燃料の「トリチウム」と、
発生する中性子により「放射化された核融合炉」である。

放射化された核融合炉は、寿命を迎えたのち、100年ほど放置すれば、
作業員が近づけるレベルまで放射線量が下がり、再利用できるとされる。
また核融合炉は固体なので、漏れだしたり拡散する恐れは低く、近づかなければ良い。

一方のトリチウムは水素の放射性同位体である。
トリチウムは気体であり、何らかの要因で拡散する恐れがあるので、
今回はトリチウムの放射性リスクを考察することにする。

トリチウムの基礎情報

  • 半減期は12.3年
  • β線を放出してヘリウム3になる
  • β線のエネルギーは最大18.6keV、平均5.7keV
  • 比放射能は 3.6×10^17 Bq/kg
(参考)原子力資料情報室(CNIC)
   「福島第一原発のトリチウム汚染水」『科学』Vol.83, No.5(2013)

β線は皮膚や衣服により遮蔽されるので、外部被ばくの恐れは少ない。
今回は内部被ばくを考える。

トリチウムの内部被曝

トリチウムが体内に取り込まれると、主に2つの形態を取る。
ひとつは酸素と結合して水のようになる「トリチウム水(HTO)」。
もうひとつは有機物に結合する「有機トリチウム(OBT)」だ。
「生物学的半減期」は水の形の場合は約10日、有機物の形の場合は平均40日。
「預託実効線量係数(mSv/Bq)」は成人の場合、
水の場合は1.8E−08、有機物の場合は4.2E−08。(ICRP Publication 72)

(表の上がトリチウム水、下が有機トリチウム)

あとは体内に取り込まれたトリチウムの量が分かれば被ばく量がわかるが、
それは想像の域を出ない。

参考までに、将来の核融合炉で使うトリチウムの量を示しておく。
原子力資料情報室(CNIC)によると、
将来の核融合炉(1GW)で1年間に使うトリチウムは130kg。
これは4.7×10^19Bqに相当する。

しかし、何らかの理由で拡散するとしても、
1年間に必要な燃料がすべて漏れだすとは考えにくい。

原子力委員会の「核融合エネルギーの技術的実現性 計画の拡がりと裾野としての基礎研究に関する報告書」(2000)では、原子炉のヨウ素131との比較において、炉内にある燃料の量を採用している。それによると、将来の核融合炉(1GW)の炉内にあるトリチウムは4.5kgで、これは1.7×10^18Bqに相当する。

(参考)「核融合エネルギーの技術的実現性 計画の拡がりと裾野としての基礎研究に関する報告書」