チョウチンアンコウの歪んだ愛


今回お届けするのは、歪んだ愛。
昼ドラのような世界です。
チョウチンアンコウの一種の、
変わった生殖活動をご紹介します。

オスとメスで大きさが違う!

今回の主役は「ミツクリエナガチョウチンアンコウ」。長い名前ですね・・・(汗)。全部で16文字。魚類の中で最も長い和名のようです。見た目は、なかなかの強面ですね。分厚くてつんと上を向いたような唇。ざらざらしてそうな肌の荒れ具合。うーん、不気味です。ミツクリエナガチョウチンアンコウには、オスとメスの違いがはっきり分かる特徴があるんです。それは体長です。メスは40cm近くまで成長するのに対して、オスは4cmほどまでしか大きくならないんです!


出会いは奇跡!歪んだ愛の始まり

広大な深海の世界。同じ仲間の異性と出会う機会は、そうあることではありません。オスがメスを見かけたら、「このチャンスを逃すまい!」とメスの体をガブリ!鋭くかみ付いて離しません。そしてここから、歪んだ愛が始まります。オスの愛情が強すぎて、オスの唇とメスの皮膚が融合。血管までもがつながり、栄養も共有するようになるんです!まさに「ひも」状態ですね!



ひもになったオスの運命やいかに?

メスの体に寄り添い、ひもになってしまったオス。その後の運命はどうなってしまうのでしょうか?目はしだいに小さくなり、やがて消滅。内蔵すら退化してなくなってしまうんです!一方で、メスの卵巣が発達するにつれ、オスは精巣だけが異様に発達。オスは子孫を残すためだけの存在になってしまいます。やがて子孫を残し終えると、オスはメスの体内に吸収されてしまい、完全に同化してしまうんです!


寄り付くオスは拒まない!逆ハーレム状態

オスは深い愛情とともに己の身を捧げるにもかかわらず、メスはめちゃめちゃドライ。自分を気に入ってかみ付いてくれたオスは、次々と受け入れます。やがて、メスの体には複数のオスがくっつきます。まさに逆ハーレム状態!ミツクリエナガチョウチンアンコウの世界では、一妻多夫制なんですね。


ミツクリエナガチョウチンアンコウの、独特の雌雄の関係。いかがでしたか?私たちの身近な恋愛とは、かけ離れた世界かもしれません。でも過酷な深海の世界では、確実に子どもを残すために、必要な方法だったのかもしれません。(福田大展)

ミツクリエナガチョウチンアンコウ

体長はメスが40cmなのに、オスはわずか4cm。
オスは、メスを見つけると体にガブリと噛み付きます。
すると、オスの唇とメスの皮膚が融合。
血管までもがつながり、栄養もやりとりできるようになります。
まさに「ひも」状態!
寄生したオスは徐々に退化していきます。
目が小さくなり、最後には消滅。内蔵もなくなります。
一方で、メスの卵巣が発達してくると、オスの精巣だけが異様に発達。
オスは子孫を残すだけの存在になります。
そして子孫を残した後、オスが辿る運命は・・・
メスの体内に吸収されて取り込まれて、同化してしまいます。

深海は広くて暗いので、オスとメスが出会うのが大変。
出会いが少ない。
1回出会ったら、何が何でもゲットしないとダメなんです。
過酷な世界。
確実に子どもをつくるために、寄生という方法を選んだ。

深海生物の進化

発光

太陽光が届かない暗闇の世界。光を上手に使いこなす進化

①影を消す(カウンターイルミネーション)
  200〜1000mの深海魚のほとんどが、腹に発光器を備えている。
  完全に暗黒の領域となる1,000m以深では、
  カウンターイルミネーションの効果が期待できないためか、
  腹部の発光器はあまり見られない。


②獲物を探す(サーチライト)


  【オオクチホシエソ】眼の下に赤色の光を放つ発光器。暗視野スコープ
   深海では青い光が遠くまで届くので、青白い発光器を持つ生物が多い。
   しかし、オオクチホシエソはは赤い光を放つ発光器を備えている。
   さらに自らの眼も、赤色を感じやすいように進化。
   “赤外線照射装置”と“赤外線感知システム”を備えている
   赤外線の光は、他の深海生物には見えにくい。
   赤い光で、敵に気づかれないように忍び寄り、襲いかかる。
   青い発光器も持っていて、ハイビームのように遠くを見るのに使う。   
   クロロフィル(葉緑素)を持っている。
   クロロフィルをもつ細菌と発光バクテリアが共生し、
   赤い光を放つことができると考えられている。

③獲物をおびき寄せる(ルアー)
  

  【ムネエソ】口の中が光る
   口の中に多数の発光器を持つ。
   光に寄ってきた生物を、えさとしてそのまま食べてしまう。
   敵に見つかると、体をくねらせてうろこの角度を変え、
   敵の目に届かないように光を乱反射させて、姿を見えなくする。


  【Thaumatichthys axeli】
   チョウチンアンコウの仲間
   飛び出した上顎の先に、光るルアーをぶら下げている。
   大きな口を開けたまま、ルアーを光らせます。
   餌となる生物が光に集まってくると、
   ルアーを口の中に折り曲げて、誘い込みます。
   口の中に触れた瞬間、口を閉じて生物を閉じ込めます。
   


④驚かせて隠れる(防御・目くらまし)


  【ガウシア】 青色の発酵液を放ち、数秒後に明るく閃光する。
   動物プランクトン。
   発光タンパク質が、 海水中のNaイオンと反応して発光している。

⑤仲間を見つける(コミュニケーション・求愛)
【ミツマタヤリウオ】
雌雄で眼後部の発光器の大きさが違う。
雄が大きく、雌が小さい。雄が求愛に使う。
雌の体長は50cmほどで、雄は10cmにも満たない。
雄は雌の5分の1ほどの大きさにしか成長しない。
雄は成魚になると、餌をほとんど食べなくなる。
雌を探し、生殖だけにすべてを費やす。
幼魚のころに変わった形態をしている。
目が体長の半分ほども飛び出ている。
成長するにつれて、コイル状に巻かれる。
成魚になるころには、顔にくっつく。
また、腹から糸のように消化器官が伸びているが、
これも成長するにつれて、体内に収納される。

感覚

わずかな光をとらえる進化、光以外の感覚を研ぎ澄ませる進化。

①大きな眼
【オオメマトウダイ】
 目は頭の長さの半分と大きい。

【オオメソコイワシ】

②小さく退化した眼
【ユノハナガニ】

③望遠鏡のような筒状の眼

【デメニギス】
 水深400〜800m。
 眼が大きく、「管状眼」と呼ばれる筒状になっている。
 緑色の球状部分が、円筒形の高感度の眼。
 頭が透明なドーム状の膜で覆われ、内部は液体で満たされている。 
 眼の軸を回転させ、前から真上まで視点を変えられる。
 眼を真上に向け、わずかな太陽光によってできる獲物の影を探している。
 眼のような場所にあるものは、鼻に相当する器官。
 お腹に発光器を持つ。

【ボウエンギョ】

④長い柄の先の眼(少ない動きで視野を広げる)

【ミツマタヤリウオの子ども】
眼が長い柄の先にある。
眼が左右に飛び出している。
体が大きくなると、柄の先が縮んで短くなり、
眼の位置に収まる。
眼が長い理由は、周囲をよく見るためという説があるが、
詳しくは分かっていない。

⑤光を感じる

⑥光を感じる感光板(網膜が発達)

⑦体の表面に大きな孔(獲物の振動を見逃さない)
【オオアカクジラウオ】

⑧長いうろこ(振動や接触に敏感)

【ヒレナガチョウチンアンコウ】
糸のように長くした、ひれのすじを漂わせる。
体のところどころに生えている糸状のものは、側線の感覚孔にある皮弁。
レーダーのように水の流れを敏感に読み取り、
えさを捕まえるのに役立っていると考えられている。
頭に立派な角が生えている

⑨長いひげ(振動や接触に敏感)
⑩大きな鼻
⑪磁場を感じるセンサー(ヘラザメ)

口・胃袋・腸

深海はえさに乏しい。確実に捕獲するために発達した。

①口を大きく開ける

【ホウライエソ】
 体長35cm。水深500〜2500m。
 せきつい骨がバラバラに離れる。
 頭を激しく動かして、大きな口を開ける。
 そのときに、大きな獲物を口の中に通すため、
 心臓や腹部大動脈、えらを後ろ下方に押し下げられる。
 するどい牙を持つ。
 牙に大きすぎる獲物が刺さったときに、飲み込めずに餓死することもある。


【ダイニチホシエソ】
 せきつい骨がバラバラに離れる。
 頭を激しく動かして、大きな口を開ける。


②大きな牙を持つ
【ホウライエソ】

③袋のような口を持つ
【フクロウナギ】
 大きくて伸び縮みする、袋のような口を持っている。
 口の長さは頭蓋骨の10倍ほど。口の上に頭蓋骨が乗っている感じだ。
 大きな口を開けたまま、体を垂直に立てて浮上。
 小さいエビなどを誘い込み、口を閉じて獲物を一気に飲み込む。
 尻尾の先端に発光器があり、
 ルアーのように獲物をおびき寄せている可能性がある。
 http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=INJ5Tk7Nbi4

④胃袋を大きく広げて丸飲みする

【フウセンウナギ】
 英名は「Gulper」“丸飲みするもの”と呼ばれています。
 腹の筋肉が柔らかく、胃袋を大きく広げられる。
 丸呑みした餌を収められる。
 腹が飲み込んだ魚のような形になり、風船のように膨らむ。
 尻尾の先に発光器を持つ。

【クロボウズギス】
 英名は「Deepsea swallowers」“深海の大食漢”。
 自分よりも大きな魚を飲み込むことができる。
 腹が飲み込んだ魚のような形になる。

⑤鳥のくちばしのような長い口を持つ
【シギウナギ】

⑥長い腸で消化と吸収の効率を高める
【ホウキボシエソの子ども】
 体長の5倍ほどの、長い腸をぶら下げている。
 腸が体の外に露出している。
 腸の表面積を広くして、消化と吸収の効率を高めている。

運動

活発に動き回るのではなく、じっと待機して獲物を待つ

①長いうろこで三脚のように体を支える
②長いひげ
③成長せずにエネルギーを節約

防御

①肛門から墨を出す(アカナマダ)
②光る液を出して驚かせる
③体をとげで覆う

①赤(赤はわずかな太陽光の青を吸収して黒く見えるため)
②黒(深海魚の9割は黒い。闇に紛れるため。影は腹部の発光器で打ち消す)
③紫
④透明

発音



発電

シビレエイ科やガンギエイ科が発電する。
攻撃や防御、自分の位置を知る、コミュニケーションなどに使っている。
一度放電すると、充電にかなりの時間が必要。
シビレエイ類は、体の左右にそら豆状の大きな発電器を持つ。
起電力は50〜80ボルト、電流は40〜50アンペアほど。
ガンギエイ類は尻尾の両側に、細長い発電器を持つ。
起電力は数ボルト。

【ヤマトシビレエイ】
【スベスベカスベ】
 ウロコがほとんどなくスベスベしているところから命名





繁殖


浮き袋

高水圧、水圧の変化に耐える進化。

①浮き袋をなくす
②グアニン結晶で浮き袋を覆って頑丈にする
③中身を気体ではなく、脂肪やワックスに置き換える



オオグチボヤ


概要

水深300〜1000m。体長10〜15cm。
海水の流れる方向に向かって、パックリと口を大きく開けて待ちぶせ。
大量の海水を飲み込み、えらでプランクトンをこしとって食べる。
植物プランクトンや動物性プランクトン、小さなエビを食べる。
えさが口に入ると、ガバッと口を閉じて閉じ込める。
こしとった海水は、吐き出す。
大きな口は入水孔で、その上にあるものが出水孔。
マリオのパックンフラワーに似ている。

http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=gYcB180X0Tk

ピタゴラスイッチ大解剖!

http://www.youtube.com/watch?v=GOMIBdM6N7Q&feature=player_embedded
今回はこの動画を徹底解剖してみたいと思います!

ピタゴラスイッチとは

ピタゴラスイッチとは、NHK教育テレビの番組の名前です。番組の中で「ピタゴラ装置」と呼ばれるものが登場します。玉が転がったり、物が倒れたりしながら、ドミノ倒しのように次々と連鎖して動いていきます。

この動画は、新聞の1ページをめくるピタゴラ装置を紹介しています。ただ普通にめくるのではなく、あの手この手といろんな仕掛けがしてあります。ピタゴラ装置には、いろんなエネルギーが登場し、めまぐるしく変化しているんです。


高い所は好きですか?


皆さんはジェットコースターは好きですか?私は大の苦手なのですが・・・。

「カチカチカチカチ」と高い場所まで登る不気味な音。
「キャー!高い!」と感じるあの恐怖。

この「高い!」というのもエネルギーの一つなんです。「位置エネルギー」と呼ばれいていて、高ければ高いほど大きなエネルギーが蓄えられます。

そして、高い場所に登った後は、真っ逆さまにものすごい速さで落ちます。この「速い!」というのもエネルギーで、「運動エネルギー」といいます。

今回のピタゴラ装置の中にも、この位置エネルギーから運動エネルギーへの変換が、たくさん登場しているんです。例えば、一番最初の絵画の額が傾いて玉が転がるのもそうですね。



物を燃やすエネルギー


次に出てくるエネルギーは、火が燃えるエネルギー「化学エネルギー」です。この場面では、炎がひもを燃やして、玉が落ちて転がっています。この一瞬で「化学エネルギー → 位置エネルギー → 運動エネルギー」と目まぐるしく変化しているんです。


熱いエネルギー

熱々の石焼きビビンパを食べていて、思わず食器に触ってしまって「熱っ!」ってなったことありますか?この「熱い!」というのもエネルギーで、「熱エネルギー」と呼ばれています。ピタゴラ装置の中では、ビーカーの中の液体が沸とうする場面で出てきます。



まずはガスバーナーの火が燃えて、その熱でビーカーの液体が沸とうします。水蒸気が上に立ち上り、スポンジに吸収。やがてスポンジが重くなり、下に下がっています。この場面では・・・






上の図のように、4種類エネルギーが登場して変化しているんです!物理好きとしては、水蒸気がスポンジに吸収されて、熱エネルギーが位置エネルギーに変わるところがたまりません!


ハムスター登場!

さあ、そして最後のクライマックスは、ハムスターが登場する場面です。ノートパソコンが落ちたときに、ドライヤーの電源が入ります。これは身近な「電気エネルギー」です。


そしてドライヤーから出た熱風がハムスターにあたり、ハムスターが「いやー!」と逃げて言います。そして玉が転がっていきます。ハムスターさんごめんなさい。


この場面では・・・


上の図のように、5種類のエネルギーが変化しています!「ハムスターが動くエネルギー」というのは、表現が難しいところですが(笑)今回の2分ほどの動画の中に、たくさんのエネルギーが詰まっていました。皆さんの生活に身近なエネルギー。他にもあるので、いろいろ探してみてください。(福田大展)




マッコウクジラ


地球上最大の無せきつい動物「ダイオウイカ」が、
世間をにぎわせているようなので、
その最大のライバルである「マッコウクジラ」に
注目してみたいと思います。

 大型バス2台分の長さ!

丸く突き出た、巨大なおでこが愛らしいですね。体長は大きいもので18m。歯を持つ動物の中では、地球上最大の生物です。町中を走る路線バスの長さが9mほどなので、約2台分の大きさもあるんです。

潜水の天才!秘密はおでこの中に!?

マッコウクジラは潜水が大得意。水深1000mほどまで潜れるんです!その鍵を握っているのが、大きなおでこ。おでこの浮力を調節して、時には「おもり」、時には「浮き袋」の役目を果たしているんです!


おでこの中には、一体何が入っているのでしょうか?その大部分には、「脳油」と呼ばれるものが詰まっています。深く潜りたいときには、鼻の穴から冷たい海水を入れて脳油を冷却。脳油を固めて「おもり」にします。一方、海面に上がりたいときには、脳油を血液で温めてもとの液体に。浮力を大きくして「浮き袋」としておでこを活用しているんです。

息継ぎなしで1時間海の中

マッコウクジラは一旦潜り始めたら、1時間以上も呼吸をせずに泳ぎ続けても平気なんです!そんなに深くまで潜って、息苦しくならないのでしょうか?マッコウクジラは、酸素を貯めるタンパク質「ミオグロビン」が、全身の筋肉にあるため、大量の酸素を蓄えられるんです。

音で深海を“見る”

マッコウクジラが深くまで潜れることは分かりましたが、深海は太陽の光が届かない暗闇の世界。深海の様子は見えているのでしょうか?

「パチッ!パチッ!パチッ!パチッ!」

このサイトの音を聞いてください。


マッコウクジラは、深海で「クリック音」と呼ばれる音波を出しています。その跳ね返ってきた音を聞くことで、獲物を探していると考えられています。音で深海を“見ている”のです!


何のために深海へ?

マッコウクジラが深海に行くことは分かりましたが、一体何のために潜っているのでしょうか?実は、深海のイカが大好物。体が大きいだけあって食欲旺盛で、1日に1トンものイカを食べるそうです。もちろん、ダイオウイカにも目がありません。2体の戦いを見た人はまだ誰もいませんが、マッコウクジラの口の周りに、ダイオウイカの吸盤に吸い付かれたと思われる痕跡が、確認されています。体長18m同士の決闘。いつか見てみたいですね。(福田大展)

PVイベント

最近何して遊んでる?

DS
AKBのダンス

→それもみんな「エネルギー」なんだよ。

エネルギーって何だろう?

「最近何して遊んでる?」など、子どもが興味を持っていることを引き出して、エネルギーが関係していることを伝える。身の回りにはエネルギーがいっぱい。

 肉や野菜を焼く
 お風呂のお湯を沸かす
 自動車を走らせる
 電車を走らせる
 飛行機を飛ばす
 DSを動かす
 走る、歌をうたう、踊る

どんなエネルギーがあるのかな?

 熱い!   熱エネルギー
 まぶしい! 光エネルギー
 うるさい! 音エネルギー
 高い!   位置エネルギー
 速い!   運動エネルギー
 
→今日話すのは「電気エネルギー」

電気エネルギーでどんなことができるのかな?

 光る 部屋を明るくする
 熱  温める
 音  DSの音を鳴らす
 運動 電車を走らせる

電気を作ってみよう!

 火 蒸気でタービンを回す
 水 水を高いところから落とす
 光 太陽電池
 風 プロペラを回す

電気を作るには何がいるかな?

 火 石炭、石油、天然ガス
 水 ダム、川
 光 太陽
 風 風

それはどこにあるかな?

化石燃料


聞いておきたいこと

ターゲットは?
会場の雰囲気は?
工作でつくる太陽電池はどんなもの?



ヘマソラール


スペインにあるタワー式太陽熱発電所。
ヘマソラールはスペイン語(Gema solar)で「太陽の宝石」という意味。
出力は19.9MW。1年間に110GWh発電し、2万5000世帯の電気をまかなう。

185ha(東京ドーム142個分)の敷地に、2650個のヘリオスタットを設置。
ヘリオスタットとは、太陽の動きに追従して鏡の向きを調整する平面鏡。
20秒ごとに反射板の向きを変えている。鏡の大きさは120平方m(?)。
高さ140mの中央塔に光を集めて、水、オイル、溶融塩などの液体を加熱。
加熱された液体で水を蒸発させて、蒸気タービンを回して発電する。

ASIMO

ASIMO

ASIMO = Advanced Step in Inovative Movility
本田技研工業が開発し、ホンダエンジニアリング株式会社が製造している、
世界初の二足歩行ロボット。

▼3つのセンサ
・視覚センサ(高ダイナミックカメラ)
 目のところに付いているカメラで撮影した画像から、
 輪郭の特徴をつかんで、人を識別する。

・床面センサ(自己位置補正カメラ)
 へそから下を見ている赤外線センサとCCDカメラ。
 赤外線センサは、足元から2m先の床面と障害物を検出。
 CCDカメラは床面上のマークを認識し、地図情報とのズレを補正する。

・超音波センサ(全周囲障害物センサ)
 お腹から超音波を発して、3m先の人や障害物を検出。
 視覚センサでは捉えられないガラスなどを見つける。


▼手首に力覚センサ
 手首に搭載した力覚センサで、左右の腕の力を調整。
 握手や手つなぎ歩行、ワゴン運搬、トレイの受け渡しなどができる。

▼6km/hで走るときには0.08秒、宙に浮いている。

歴史

▼Eモデル
 「Experimental Model」は、歩行の原理を研究する実験機で脚部のみ。

▼Pモデル
 「Prototype Model」は、完全自律歩行を目指した試作機で、
  上半身も開発され、より人型に近づいた。

▼ASIMO
     身長  体重   歩く速度  走る速度  電源  稼働時間
(2000)120cm  52kg  1.6km/h        Ni-H   30分
(2004)130cm  54kg  2.5km/h   3km/h  Li-ion 40分-1時間
(2005)130cm  54kg  2.7km/h   6km/h  Li-ion 40分-1時間
(2011)130cm  48kg  2.7km/h   9km/h   ?  40分(自動充電機能)

応用

ヒューマノイドロボット研究で培った、
「二足歩行技術」や「バランス制御技術」を応用している。
「UNI-CUB」「体重支持型歩行アシスト」
 原発事故が起こった福島第一原発で作業する「高所調査用ロボット」

対話

→ASIMOにどんなことをしてもらいたいですか?
実は、東日本大震災の後に、あることをしてほしいという意見が殺到したんです。
→なんだか分かりますか?
「ASIMOを原発に派遣できないか」って声です。
開発者は、ASIMOは無理だが、培った技術は何かの役に立つと考えました。
「バルブ開閉用作業アームロボット」を3ヶ月で開発。現場投入はできなかった。
続いて、原発内の細部をモニタリングする「高所調査用ロボット」を開発。
2013年6月18日、福島第一原発で稼動を始めました。

高所調査用ロボット


アームの先端に、線量計やカメラ、レーザーレンジファインダーを設置。
放射線量の測定や線源の特定、詳細な画像や三次元形状データの確認をしている。
最長7mまで伸びる。

ASIMOの開発で培った、技術を応用している。
・三次元のポイントクラウド(点群座標)により、構造物を立体的に表示する技術
・多関節を同時に制御するシステム
・アームが周囲の構造物に接触した際にその衝撃を吸収する制御技術

ひらめく

展示内容

▼導入
 「ペニシリン」の発見(フレミング)
 細菌培養していたシャーレに生えたカビ…。
 当初の目的(細菌培養)からすれば、明らかな「失敗」。
 しかし、カビの周りには細菌がない。カビには細菌の増殖を防ぐ「何か」がある
 (セレンディピティの発現、ひらめきの瞬間)
 カビの中から抗生物質ペニシリンを発見。
→失敗の中からひらめいた経験はありますか?

▼先端例
 「導電性プラスチック」
 ひらめきの瞬間は、マグダイアミド(無機化学)とヒーガー(物性)との出会い。

「セレンディピティ」偶然にも幸運な発見をする潜在的な力
 白川さんは「よく観察しよう」「よく記録しよう」「深く考えよう」と言います。
 幸運だけでなく、準備も大切なんだと思います。

▼その他の例
 「ポストイット」
 「面ファスナー」
 「カーボンナノチューブの大量合成法」




導電性高分子

導電性高分子


電気を通す高分子のこと。通常のポリマーは絶縁材料だが、1970年代に炭素-炭素の2重結合と単結合が交互に結合したポリアセチレンにハロゲンを添加(ドーピング)することによって、金属並みの導電性が発見された。

展示のクローバーは、
(正極)ポリアニリンを塗ったPETフィルム
(負極)ITO - PETフィルム

          安定性  透明性  成膜性
ポリチオフェン系   ◎    ◎    ◎
ポリアセチレン系    ×     ×    ○
ポリアニリン系    ○    ○    ○
ポリピロール系      ◎     ×     ×



白川英樹さんの発見

真っ黒な「粉」しかできないと考えれていたポリアセチレンだが、「薄膜」ができた。ポリアセチレンは触媒を溶かした液にアセチレンガスを吹き込み、溶液中で重合させてつくる。原因は、触媒溶液濃度の単位で「m(ミリ)」を見逃し、1000倍の触媒を加えていたからだった。金属光沢を放っていたので、電気が通るかもしれないと考えたが、通らなかった。10年後、マグダイアミドさん(無機化学)とヒーガーさん(物性)と共同研究。化学ドーピングという発想で、金属並みに電気が流れた。
「セレンディピティ」偶然にも幸運な発見をする潜在的な力

応用

▼タッチパネル(iPhone、ATM)
▼リチウムイオン電池の電極
▼有機EL
▼有機薄膜太陽電池


みならう

展示内容

▼導入
 「グライダー」
  「鳥のように空を飛びたい」という願い。
  空飛ぶ鳥の翼を観察。構造や機能を真似して、グライダーを作った。

 オットー・リリエンタール
  コウノトリに魅せられて、1891年に鳥型のグライダーで初めて飛行。
  2000回以上の飛行を繰り返し、1896年に墜落して死亡した。

 ライト兄弟
  1903年に飛行機による有人動力飛行に世界で初めて成功。

→「鳥のように空を飛びたい」と思ったことありますか?
 130年ほど前にもいたんです。そう思った人が。
 初めて空を飛んだ人。
→誰でしょう?
 ライト兄弟だと思うでしょ。
 その12年前にグライダーで飛んでる人がいるんです。
 リリエンタール。でも、墜落して死んでしまいました。
 リリエンタールは、鳥を完全に真似しました。
 ライト兄弟は、真似するだけでなく、エンジンを積んだんです。


▼先端例
 「人工光合成」
  光触媒、本多・藤嶋効果(酸化チタン)、Ru-Re金属錯体、色素増感型PV

▼その他の例
 「ハスの葉」超撥水タイル
 「モルフォチョウの羽」モルフォテックス
 「ダブルネットワークゲル」人工関節軟骨

対話

人間は自然に憧れることで、新しい技術を生み出してきた。
生き物や自然に驚かされたり、憧れたりした経験はありますか?




人工光合成

光合成とは

太陽の光エネルギーを使い、二酸化炭素と水から、糖と酸素をつくる反応


【明反応】光化学反応(光エネルギーを化学エネルギーに変換)
  水を光エネルギーで、酸素と水素イオンと電子に分解。
  分解するには「触媒」の力が必要。
  「光化学系II(PSII)」というタンパク質複合体が触媒の役割をしている。
  電子はNADPHという物質にたくわえられます。
  葉緑体の中の膜を隔てて水素イオンの濃度差が生じ、
  これによってATPを合成するための原動力が生まれます。
  光化学反応は葉緑体の中にあるチラコイドの膜で起こる。


【暗反応】カルビン回路(化学エネルギーから糖を合成)
  光化学反応で作られたNADPHとATPを使い、
  二酸化炭素と水を材料として糖が作られる。
  カルビン回路の反応は、ストロマ(葉緑体基質)で起こる。


本多・藤嶋効果

二酸化チタン電極に紫外線を当てると、
水が分解されて二酸化チタン電極から酸素、白金電極から水素が発生。
さらに電極間に電流が生じる現象。
本多健一と藤嶋昭が、1967年に発見。


Link

二酸化炭素が資源に!夢の人工光合成