マッコウクジラ


地球上最大の無せきつい動物「ダイオウイカ」が、
世間をにぎわせているようなので、
その最大のライバルである「マッコウクジラ」に
注目してみたいと思います。

 大型バス2台分の長さ!

丸く突き出た、巨大なおでこが愛らしいですね。体長は大きいもので18m。歯を持つ動物の中では、地球上最大の生物です。町中を走る路線バスの長さが9mほどなので、約2台分の大きさもあるんです。

潜水の天才!秘密はおでこの中に!?

マッコウクジラは潜水が大得意。水深1000mほどまで潜れるんです!その鍵を握っているのが、大きなおでこ。おでこの浮力を調節して、時には「おもり」、時には「浮き袋」の役目を果たしているんです!


おでこの中には、一体何が入っているのでしょうか?その大部分には、「脳油」と呼ばれるものが詰まっています。深く潜りたいときには、鼻の穴から冷たい海水を入れて脳油を冷却。脳油を固めて「おもり」にします。一方、海面に上がりたいときには、脳油を血液で温めてもとの液体に。浮力を大きくして「浮き袋」としておでこを活用しているんです。

息継ぎなしで1時間海の中

マッコウクジラは一旦潜り始めたら、1時間以上も呼吸をせずに泳ぎ続けても平気なんです!そんなに深くまで潜って、息苦しくならないのでしょうか?マッコウクジラは、酸素を貯めるタンパク質「ミオグロビン」が、全身の筋肉にあるため、大量の酸素を蓄えられるんです。

音で深海を“見る”

マッコウクジラが深くまで潜れることは分かりましたが、深海は太陽の光が届かない暗闇の世界。深海の様子は見えているのでしょうか?

「パチッ!パチッ!パチッ!パチッ!」

このサイトの音を聞いてください。


マッコウクジラは、深海で「クリック音」と呼ばれる音波を出しています。その跳ね返ってきた音を聞くことで、獲物を探していると考えられています。音で深海を“見ている”のです!


何のために深海へ?

マッコウクジラが深海に行くことは分かりましたが、一体何のために潜っているのでしょうか?実は、深海のイカが大好物。体が大きいだけあって食欲旺盛で、1日に1トンものイカを食べるそうです。もちろん、ダイオウイカにも目がありません。2体の戦いを見た人はまだ誰もいませんが、マッコウクジラの口の周りに、ダイオウイカの吸盤に吸い付かれたと思われる痕跡が、確認されています。体長18m同士の決闘。いつか見てみたいですね。(福田大展)