Hammarby Sjöstad

概要

1990年代はじめ、オリンピックの招致を目指して再開発が始まった。当時はT字型のハンマルビー・ショー湖を囲むように造船所地帯が並び、環境汚染が進んでいた。招致には敗れたが、その後も「Hammarby model」と呼ばれるサステイナブルなまちづくりが続けられている。新開発は2018年まで。10000戸の住居が整備され、25000人が暮らす予定。再開発の土地は、ストックホルム市の中心部から南に約5㎞で、広さは200ha。土地の利用方法、交通手段、建材の選択、エネルギー、水、廃棄物など総合的な視点から計画が進められた。

目標

1990 年代前半の住宅地区と比較して、Hammarby Sjostad地区から排出される物質の環境負荷を50%低下させる。(2015年までに)

▼エネルギー(Energy)
建物のエネルギー消費を50 kWh/m2に抑える(うち15 kWh/m2 は電力)
100%再生可能エネルギーを使う
80%は廃棄物に由来するエネルギーを使う
汚泥よりバイオガスを回収する
住民による廃棄物と排水はすべてリサイクルし、再生エネルギーとして地区に還元する

▼交通(Transportation)
住民の80%が公共交通や自転車、バスなどで通勤する
うち25%は電気・バイオ燃料自動車によるものとする

▼上水(Water)
一人当たりの水使用量を50%削減する

▼廃棄物+排水(Waste)
埋め立てごみ廃棄場に送られる廃棄物量を90%削減する
総廃棄物量を40%削減する
廃棄物・排水中の窒化物を50%、水を50%、リンを約95%回収し、再利用する

▼都市()
25000 人が暮らせる10000 戸の住居を整備する

具体的な取り組み

▼エネルギー(Energy)
太陽電池、燃料電池、太陽光発電 可燃廃棄物を燃料に発電し、その熱を回収する
下水処理水からヒートポンプにより廃熱を回収し、住宅施設の冷暖房に使う
下水処理過程で得られる汚泥からバイオガスを回収し、市営バス、タクシー、ごみ回収車、ガスストーブなどの燃料に使う

▼交通
カーシェアリング

▼上・下水(Water)
節水家電などの普及により水使用量を25%減らす(目標は50%減、100L/人・日)
下水処理施設にて新技術を試行する。新開発次期プロジェクトへ
家庭排水と工業廃水を完全に分離する
重金属や生分解しない化学物質の下水への排出量を減らす(目標は50%減)
汚泥の肥料化。スウェーデンの森林地域に使用
汚泥中の窒化物を肥料として農業で利用することや、下水処理水のエネルギー回収について、ライフサイクルアセスメント(LCA)で有益性を評価する
雨水管の普及により下水処理場の負担を軽減させる
処理水の基準値:窒素6 mg/L、リン0.15 mg/L分野全体目標

▼廃棄物(Waste)
家庭ごみの分別を徹底する
廃棄物の量を減らす
生ごみの回収を促進させる(肥料化)
ごみは住宅の各ブロックに設置されているリサイクリング・ルームや各エリアの収集場所から、地下に敷設されたバキューム管で時速70㎞で集められる

備考

収入が高いシニア層の入居が多いことを想定していたが、自然に触れ合える環境が好まれ、小さな子供を持つ若い世帯の入居比率が市の想定を大幅に上回った。