エネルギーと私たちの社会

高エネルギー社会

GDPの成長のために物質的生産と消費が今後も拡大してゆく社会。
経済成長にとって「貪欲」が必要。
これまでの経済成長のおかげで、
身の回りには食料や衣服、住宅などのモノで溢れかえっている。

低エネルギー社会

人々が満ち足り、社会的公正や人々との交際、ゆとりなどに価値を見出す社会。
エネルギー消費の拡大は、必ずしも豊かさにつながらない。
エネルギーの消費を抑えられるだけでなく、さまざまな利点がある。
環境負荷が減らせる。資源が安定供給できる。
地球資源が公平に分配できる。貿易収支の赤字が解消できる。
「私たちがどのエネルギー源を選ぶべきか」ではなく、
「私たちは将来どれほどのエネルギーが必要なのか」を対話することが大切。
「供給」ではなく「消費」について話し合う。

▼価値観
価値とは、私たちが人生で意味があると考え、好ましいと思うすべてのもの。
「達成価値」と「存在価値」の2択ではなく、バランスを見つけることが重要。
価値観の対立は、二者択一では解決できない。
専門的技術や知識のみでの解決は難しい。
全体的な認識や、感性も組み合わせて解決策を探ったほうが良い。
「達成価値」と「存在価値」のバランスをどう取るかを考えることが大切。
専門家による科学的事実のみでなく、
ごく普通の人の感性、情緒、美的感覚、素朴な判断も用いて判断することが大切。

▼行動
もし社会の発展に影響を及ぼしたいならば、
生活習慣での消費のあり方で行動すること、
政治活動に参加して自分の意志を伝えることが必要。


▼熱を逃がすな
資本を燃料費に使うよりも、断熱性を高めることに使ったほうが良い。
熱はすき間から逃げるだけでなく、
密閉された壁や天井、窓ガラス、床からの熱伝導でも失われる。
室内を一定の温度に保つには、失われる熱量と同じ熱量が必要。
→日本ではどのくらいの熱が失われいているのか?

地域の熱供給は、電力と回収可能な熱の両方を利用できる発電所
(コージェネレーション)で供給できる。
小型のコージェネレーションで小さな町や村でも利用できる。
→デンマークのコージェネレーションについて調べたい


▼GDP
GDPは私たちの豊かさの指標ではない。
保有は表せず、物を買い換える消費だけが表れる。
金銭に換算できるものだけを表している。
安全や健康、幸福、美などの豊かさは含まれない。
富の分配は示していない。格差は現れない。
報酬のない活動は含まれない。
GDPの伸びを再優先する政治家と、より良い人生を望む生活者との、
ズレが大きくなっている。

▼重要な問い
経済成長が今後20年もの間、私たちの目標であり続けるのか。
生産と消費について「もっとほしい」のか、「もう十分」なのか。
成長か充足か(Growth or Full? Grow or Satisfy?)
今以上の高収入と家族や友人と過ごす自由時間のどちらを求めますか。
私たちはいつまで経済成長を続けなければいけないのか。
経済成長を続けることのベネフィットとリスクは何でしょうか。

▼調べたいデータ
日本の消費エネルギーの部門別内訳
収入と自由時間どちらがほしいか(国民生活白書)
平均労働時間の推移
日本のエネルギーフロー(どれだけの熱が逃げているか)
デンマークの断熱技術