ケプラー宇宙望遠鏡
NASA(米航空宇宙局)が2009年、地球型の太陽系外惑星を探すために打ち上げた。15万個以上の恒星の明るさを測定。惑星が主星を隠すときに生じる周期的な明るさの変動を検出して、系外惑星を探している。2014年2月までに715個の太陽系外惑星を見つけた。しかし、残念なことに2013年に姿勢制御系のトラブルで復旧不可能になり、主観測ミッションを終了した。ケプラー宇宙望遠鏡のデータから分かるのは、だいたいの大きさ、恒星からの距離、公転周期、推定表面温度のみ。ケプラーは、惑星の前面通過による恒星の明るさの変動を利用して検出する「トランジット法」で惑星を探している。トランジットが観測できるケースは、地球上で真横から軌道を観測できる惑星系のうち、わずか1%程度。トランジットが定期的に発生する場合、その頻度をもとに惑星の軌道半径を計算できる。またそのサイズは、恒星の光の変動量(わずか0.1%程度)で測定する。 数字の精度は、より内側の惑星の方が高くなるという。複数回のトランジットでの検証に要する日数が少なくて済むためだ。
地球によく似た「ケプラー186f」
2014年3月には、地球とほぼ同じ大きさの系外惑星「ケプラー186f」が発表された。493光年先にある赤色矮星の周りを公転していて、生命が存在する可能性のある領域「ハビタブルゾーン」にある。惑星表面に液体の水があるかもしれない星だ。ハビタブルゾーンにある地球と大きさが似た惑星は、初めて見つかった。
ケプラー186fは、赤色矮星ケプラー186を公転する5つの惑星のうちの1つで、直径が地球の1.1倍。大きさから岩石型と考えて間違いなく、地球の1.5倍の質量と推定されている。中心の赤色矮星は太陽の半分ほどの大きさで、温度や光度も下回る。一方、地球より公転軌道が小さいケプラー186fは、わずか130日で恒星を公転する。恒星からの熱は地球よりも少ないが、温室効果をもたらす大気が存在すると仮定すれば、海が凍らない程度に温かいと考えられる。
重い岩石惑星・メガアース「ケプラー10c」
ケプラー10cの質量は地球の17倍以上、半径は地球の2.3倍。小さくて重いことから、岩石でできていると推測した。周りにガスがないことが不思議。
ケプラーの観測では、惑星が中心星の手前を通過する時の減光量から、惑星の直径が約2万9000km(地球の約2.3倍)であることがわかっていた。さらにガリレオ国立望遠鏡を用いた観測で、惑星の重力による中心星のわずかなふらつきを計測。惑星が地球の17倍の質量を持つことをつきとめた。大きさと重さから、その組成はガスではなくより高密度の岩石であることも判明した。
これほど重い天体では重力で水素ガスが大量に集まり、木星のような巨大ガス惑星になると考えられてきた。もしこの惑星に大気があれば、重力で留められて失われることなく、形成された時のままの状態と考えられる。
ハビタブルゾーン
宇宙の中で生命が誕生するのに適した領域。「生命居住可能領域」と呼ばれる。他の天体から放射されるエネルギー量を考える「惑星系のハビタブルゾーン(HZ)」と、星間物質の量を考える「銀河系のHZ」がある。惑星系のHZの距離は、生命が生き延びるためには液体の水が必要との考えに基づき、惑星の表面温度が液体の水を維持できるかもしれない程度としている。太陽系のHZは0.97~1.39AU(1AU:天文単位・地球と太陽との平均距離)で、地球だけが含まれている。HZよりも太陽に近い金星は、太陽から放射されるエネルギーが強すぎて、水が蒸発してしまう。またHZよりも太陽から遠い火星は、逆にエネルギーが弱く、水があったとしても凍ってしまう。
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