原発解体

 火力発電所に比べて二酸化炭素の排出が少なく、発電出力が大きいことで注目される原子力発電所。新たな建設が進む一方で、初期につくられた原発は役割を終えて解体され始めている。世界で閉鎖された数は既に120基余り。日本でも「ふげん」「東海発電所」の2つが解体に着手した。

 日本原子力研究開発機構の新型転換炉「ふげん」(福井県敦賀市明神町)は2003年3月で運転を終えていた。08年2月、国から廃炉に向けた作業計画の認可を受け、「原子炉廃止措置研究開発センター」と名を改めた。現在は放射能汚染レベルが低い給水加熱器や配管などの解体撤去、重水の回収・搬出といった作業を進めている。計画では、原子炉本体の解体に着手するのは約9年後で、すべてを撤去して更地にするのは28年度。ふげんの本格運転期間は24年だったが、同じくらいの年月をかけて無に帰されることになる。

 若狭湾エネルギー研究センター(同市長谷)は、機器や配管の放射能除去、原子炉設備の切断に、「レーザー技術を応用する」研究を進めている。18年度頃から原子炉の解体を本格化する予定だが、放射化した金属の粉じんで作業員が被曝することを防ぐため、切断作業は水中で行う方針を決めている。レーザーを用いれば作業が早く進み、粉じんも舞い上がらないといったメリットがあるという。ふげんで近く、放射能を帯びた配管表面をレーザーで薄く削り取り、放射性廃棄物を減らす実験を行う予定だ。同センター研究開発部長の峰原英介(61)は「廃炉用に開発した技術は様々な産業で使える。ふげんは技術実証の貴重な実験場となる」と期待する。

 地元の産業界も新たな雇用機会として関心を寄せる。同センターで05年度から7回開かれた廃炉作業に関する企業研修には、20社から28人が参加。放射線管理下での作業実習も行われた。

【課題】
①放射性廃棄物最終処分場が決まっていない



【人】
 若狭湾エネルギー研究センター・エネルギ開発G 重田達雄
 原子炉解体粉塵の抑制に関する研究

【Link】
 原子炉廃止措置研究開発センター
 若狭湾エネルギー研究センター