人の心を動かす文章術

【第1章】文章を書くのはテクニックである
 文章を書くということは、自転車に乗ることと同じようなものだ。

【第2章】人と違った文章を書くのがおもしろい
「面白い文章の条件」
 特異な立場や情報、体験に基づく文章
 人と違った意見や根拠、感想、ものの見方、疑問、指摘をしている文章
「自分らしい文章を書くためには」
 最後に道徳的な意見でまとめない
 一般的な考え方を否定してみる
 全員に同感されることを目指さない
 テーマを1つに絞って書く
 自分の立場を明確にする

【第3章】文章の型を利用する
「起承転結」
 ①予告    「いまからこんなことを書きます」
 ②エピソード 「1つの出来事を中心に具体的に語る」
 ③展開    「エピから得た印象や考えなどを深く鋭く書く」
 ④まとめ   「全体のまとめ」
「書き始める前にコンテを作る」

【第4章】書き出しで読み手を引きつける
 書き出しを工夫すること。自分自身を乗せて書くためにも出だしが肝心。
「書き出しのパターン」
 ①動きのある文
  擬音で始める「ドシン」「トントントン」
  会話で始める
  動きのある行為から始める(事件のまっただ中に読み手を投げ込む)
 ②読み手の意表をつく
  アブノーマルな状況から始める
  ほのめかす 「あの日のことは今でも忘れない」
  逆説で始める(常識に反する意見や感想をずばり書き出しで言う)
 ③正攻法で書き始める
  格言や人生訓で始める(道徳を語るとつまらなくなるので注意)
  正統的な書き出し(5W1Hをの設定を明確にする)「私が8歳のときのことだ」

【第5章】リアリティを出す
「リアリティを演出するテクニック」
 ①具体的に詳しく描写する
 ②現在形を使う 臨場感が出る
 ③体験者でないと気づかない細部の描写(色、匂い、音、味、感触などの五感)
 ④読み手に発見させるように書く 「彼は優しい人間だ」と直接書かずに、具体的エピソードを用いて暗に伝える
 ⑤状態ではなく動きを書く 「このような花だった」→「こんな花が揺れた」
 ⑥会話体を取り入れる
 ⑦自らを省みる 「もしかしたら自分は間違っているのかもしれない」
 ⑧遊びを加える
 ⑨思い切って省略する
 ⑩少し悪い心を書き入れる 「ちょっぴり嫉妬を感じたが・・・」
 ⑪口語体をまぜる(筆者の生の声を加える)

【第6章】描写したり、形容したりする楽しさ
「表現の工夫で面白さがアップする」
 修飾語が少ないと状況がはっきりと理解できるが、雰囲気が伝わらず潤いのない文章になる。
 修飾語を使うことで、気持ちや情景の雰囲気を伝えることができる。
「修飾語を使うときの注意点」
 ①ありふれた修飾語は使わない
 ②5割増で大げさに
「効果的な修飾語のテクニック」
 ①重ね言葉 「まるまる」「くどくど」「てくてく」「とぼとぼ」「しとしと」「らんらん」
 ②和語 「いささかも」「ほんのわずかの」「おびただしい」「ふんだんに」「たんまりと」
 ③接頭語のついた形容詞 「ほのじろい」「薄ら寒い」「薄汚い」
「比喩表現を用いる」
 状況がありありと目に浮かび、本質をえぐり出すこともできる。
 ①直喩 「まるで?のように・・・」
 ②隠喩 「まるで?のように・・・」と言わない比喩
 ③擬人法 生物や物を人間に例える「桜は春が来るのを待っているかのように・・・」
 ④アナロジー 身近な物に例えることで分かりやすくなる「文章を書くことは、自転車に乗るようなものだ」
「感情を移入させるテクニック」
 主人公の気持ちを自然の風景によって表す。実際に心情を描写するより理解されることがある。
 「雨が庭の木を濡らして、犬小屋に伝わっていた」「窓から外を見た。山はもう紅葉しかけていた」

【第7章】リズムのいい文体、メリハリのある文体
 敬体「です・ます」、常体「だ・である」の使い分け
 特定の人に呼びかけるときは敬体、不特定の人物に対して公的に書くときには常体を用いるのが原則
 文章をゆっくり読んでほしいときには敬体、速めに読んでほしいときには常体を用いる
「リズムをよくするテクニック」
 ①1つの文を短くする
 ②対句 二拍子にして並べて書く「本を読んだり、テレビを見たりして過ごす」
 ③文末を多様にする
 ④盛り上げる言葉を加える 「なんと」「驚いたことに」
 ⑤倒置
「メリハリをつけるテクニック」
 ①遠景と近景を使い分ける 何かを語り始めるときに大きな視野を示してから、徐々に細部を書く。大自然を描写してから細かい描写を書く。
 ②クローズアップとスローモーション 強調したい事柄を言うときは、同じ意味の文章を繰り返し浮き立たせる。
 ③文の長短 一文を短くするとゆったり、短い文で畳み掛けると緊迫感をかき立てる
 ④和語と漢語、外来語とカタカナの使い分け
 ⑤会話で気分を変える 地の文と会話の文のバランス。
 ⑤自由間接話法 「 」を使わずに、地の文章にせりふを加える方法