伝説の古代大陸「アトランティス」の夢



約1万2千年前に海に沈んだとされる「アトランティス大陸」
伝説の古代大陸を発見か!?
ロマンを掻き立てるニュースが、世間を賑わせています。
果たして本当なのでしょうか



ブラジル沖の海底で花こう岩を発見

まずは、今回の発見で分かったことをまとめてみましょう。海洋開発研究機構(JAMSTEC)が4月末、ブラジル・リオデジャネイロ沖の海底台地「リオグランデ海膨」を調査しました。水深910mの地点で、高さと幅が約10mの岩のがけを発見。撮影した映像の分析により、がけが「花こう岩」でできていることを確認しました。今回の発見は、海底で「花こう岩」を見つけたことがポイントなんです。

地球は何でできている?


まず最初に、「地球が何でできているのか」を考えてみましょう。主に3つです。地球の表面の「地殻」、熱で動き大陸移動の原動力となる「マントル」、地球の中心にある鉄球の「核」です。


そして地殻は、陸をつくる「大陸地殻」海の下にある「海洋地殻」に分けられます。大陸地殻は、厚さが平均して30kmほど。主に花こう岩でできています。一方の海洋地殻は、厚さが7kmほど。花こう岩より重い玄武岩でできているので、大陸地殻の下に沈み込んでいきます。今回は、大陸地殻をつくる花こう岩が海底から見つかったので、その場所は昔は大陸だった!とニュースになっているんです

歴史をひも解く

それでは、今回見つかった昔大陸だったかもしれない海底大地は、伝説の古代大陸「アトランティス」と関係があるのでしょうか!?いよいよ核心に迫ります。


ものすごい昔話をします。1億年以上前、南米大陸とアフリカ大陸はつながっていました。その後、地殻変動により大陸が引き裂かれて大西洋ができました。今回見つかった大陸は、そのとき分裂した大陸の一部が、数千年前に沈んだものらしいのです!

あれ?

気づいた人もいるでしょうか?アトランティスが沈んだとされるのが約1万2千年前。年代が合わないですね。今回見つかった“海底大陸”は、どうやら「アトランティス」ではなさそうです。いっときの夢を見させてくれたこのニュース。大陸は動いているんだ!という自然の偉大さを、改めて感じました。


データ

ブラジル・リオデジャネイロ沖の海底台地「リオグランデ海膨」。
同機構が4月末、幅千kmほどの台地状の隆起した地形の崖を調べると、
海底の薄い地殻で見つかる玄武岩ではなく、
大陸の厚い地殻の中で見つかる花崗岩でできていることがわかった。

花崗岩は、約10億年前にできたとみられている。
現在の南米大陸とアフリカ大陸がつながった超大陸が1億年以上前、
プレート運動で分裂して大西洋ができた。
そのとき、割れた超大陸の一部として、数千万年前に沈んだと推定している。

水深910mの地点に、高さ、幅それぞれ約10mの岩の崖があるのを発見。
撮影した映像を分析した結果、花こう岩と確認した。
周辺には海では組成されない石英の砂も大量にあった。
海底の岩盤は主に玄武岩とされる。

同機構は「周辺の海底で見つかった化石などから約5千万年前には海上に出ていたが、波などで土砂が削られたり岩盤が海水で冷えて重くなったりして、数百万年後には海に沈んだと推定される」としている。(共同)

アトランティスとは・・・
古代ギリシャの哲学者プラトンの著書によると、
アトランティスは約1万2千年前の洪水で海に沈んだとされる伝説の古代大陸。
高度な文明を誇ったと伝えられるが、痕跡は見つかっていない。