今回お届けするのは、歪んだ愛。
昼ドラのような世界です。
チョウチンアンコウの一種の、
変わった生殖活動をご紹介します。
オスとメスで大きさが違う!
今回の主役は「ミツクリエナガチョウチンアンコウ」。長い名前ですね・・・(汗)。全部で16文字。魚類の中で最も長い和名のようです。見た目は、なかなかの強面ですね。分厚くてつんと上を向いたような唇。ざらざらしてそうな肌の荒れ具合。うーん、不気味です。ミツクリエナガチョウチンアンコウには、オスとメスの違いがはっきり分かる特徴があるんです。それは体長です。メスは40cm近くまで成長するのに対して、オスは4cmほどまでしか大きくならないんです!出会いは奇跡!歪んだ愛の始まり
広大な深海の世界。同じ仲間の異性と出会う機会は、そうあることではありません。オスがメスを見かけたら、「このチャンスを逃すまい!」とメスの体をガブリ!鋭くかみ付いて離しません。そしてここから、歪んだ愛が始まります。オスの愛情が強すぎて、オスの唇とメスの皮膚が融合。血管までもがつながり、栄養も共有するようになるんです!まさに「ひも」状態ですね!ひもになったオスの運命やいかに?
メスの体に寄り添い、ひもになってしまったオス。その後の運命はどうなってしまうのでしょうか?目はしだいに小さくなり、やがて消滅。内蔵すら退化してなくなってしまうんです!一方で、メスの卵巣が発達するにつれ、オスは精巣だけが異様に発達。オスは子孫を残すためだけの存在になってしまいます。やがて子孫を残し終えると、オスはメスの体内に吸収されてしまい、完全に同化してしまうんです!寄り付くオスは拒まない!逆ハーレム状態
オスは深い愛情とともに己の身を捧げるにもかかわらず、メスはめちゃめちゃドライ。自分を気に入ってかみ付いてくれたオスは、次々と受け入れます。やがて、メスの体には複数のオスがくっつきます。まさに逆ハーレム状態!ミツクリエナガチョウチンアンコウの世界では、一妻多夫制なんですね。ミツクリエナガチョウチンアンコウの、独特の雌雄の関係。いかがでしたか?私たちの身近な恋愛とは、かけ離れた世界かもしれません。でも過酷な深海の世界では、確実に子どもを残すために、必要な方法だったのかもしれません。(福田大展)
ミツクリエナガチョウチンアンコウ
体長はメスが40cmなのに、オスはわずか4cm。オスは、メスを見つけると体にガブリと噛み付きます。
すると、オスの唇とメスの皮膚が融合。
血管までもがつながり、栄養もやりとりできるようになります。
まさに「ひも」状態!
寄生したオスは徐々に退化していきます。
目が小さくなり、最後には消滅。内蔵もなくなります。
一方で、メスの卵巣が発達してくると、オスの精巣だけが異様に発達。
オスは子孫を残すだけの存在になります。
そして子孫を残した後、オスが辿る運命は・・・
メスの体内に吸収されて取り込まれて、同化してしまいます。
深海は広くて暗いので、オスとメスが出会うのが大変。
出会いが少ない。
1回出会ったら、何が何でもゲットしないとダメなんです。
過酷な世界。
確実に子どもをつくるために、寄生という方法を選んだ。