黒スケ見学会

サンドウィッチ構造で鉄壁の防御


 殻の断面は、このようになっている。
 一番外側に硫化鉄(Fe3S4)の層(30μm・硬い・28.8GPa)
 中間にタンパク質(ケラチン)でできた殻皮層(150μm・柔らかい・8GPa)
 内側に炭酸カルシウムでできたアラゴナイト層(250μm・硬い・98.9GPa)
 硬い層の間に柔らかい層が挟まり、衝撃を逃しやすい構造ををしている。
 人間の歯の硬さ(弾性率)は、エナメル質が84.1GPa、象牙質が14.7GPa。
 硫化鉄のうろこは、歯の象牙質の硬さの2倍となる。

どのように硫化鉄ができるのか?

①スケーリーフット説
 黒スケのうろこは、ケラチンという人間の爪に含まれるタンパク質でできている。
 ケラチンはジスルヒド結合。
 環境とスケーリーフットが持つタンパク質の相互作用で黒くなったのでは。

②外部共生菌説
 うろこの表面にいるバクテリアが作っているのではないか。
 バクテリアの「デルタ」という種は、海水中の硫酸を硫化水素に変える。
 さらに熱水噴出口から吹き出る鉄イオンと反応し、硫化鉄ができるのでは。
 しかし、黒スケにも白スケにも、同じ数のデルタがいた。
 なので、デルタが関わっているのではないのかも。

③環境説
 <黒たまご作戦>
 かごに白スケの殻とうろこ、近くに住むアルビン貝の殻を入れて、
 黒スケの場所に置いてきた。
 しかし2カ月間の航海で、黒スケの場所に行けたのは1回だけ。
 今もインド洋にかごが眠っている(笑)