ILC

ILCとは何か

ILCとはInternational Linear Collider（国際リニアコライダー）の略。全長約30kmの直線状の加速器で、電子と陽電子を衝突させる。宇宙が創られた１兆分の１秒後の「エネルギーのかたまり」を生み出し、ビックバンを再現する。

加速装置に超伝導を用いて、加速性能を向上させる。粒子ビームの太さを細くし、粒子密度を増やして衝突頻度を上げる。

ILCで何が分かるのか

①力を統一する
▼「電弱力」と「強い力」を統一する「大統一理論」の確立

②CP対称性の破れ
▼100億個に対して1個の割合で物質が反物質より過剰に生成される「CP対称性の破れ」。より高いエネルギーでのCP対称性の破れと、物質過剰を引き起こす素粒子反応の解明

③暗黒物質の正体を探る
▼宇宙の22％を占める「暗黒物質（ダークマター）」の素粒子を作り出す。現在、暗黒物質の正体だと考えられている超対称性粒子の「ニュートラリーノ」。ILCでこの暗黒物質を人工的に創り出せるかもしれない。

④ダークエネルギーの謎に迫る
▼宇宙が加速膨張を続ける要因とされる「ダークエネルギー」。どうして宇宙の加速膨張が起きているのか？ダークエネルギーの産まれる仕組みは何か？

⑤余剰次元
▼余剰次元にエネルギーが逃げてしまい、エネルギー保存則が成り立たない素粒子の反応の観測

LHCとの違い

LHCでは、陽子同士を衝突させている。素粒子が詰まった粒子を衝突させているので、素粒子反応が複雑になる。一方、ILCで衝突させる粒子は電子と陽電子。素粒子同士の衝突で、対消滅してエネルギーに変わってしまい、物質が無くなり純粋なエネルギーからもう一度物質が生まれるので、余分な反応がおきずノイズが少ない。

本当に唯一のヒッグス粒子なのか、それとも超対称性理論が予言するいくつものヒッグスの内のひとつなのか、いったいくつのヒッグスがあるのか、どんな力が働くのか、そもそも素粒子なのか？を調べる。